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“文学少女”と繋がれた愚者
「ああっ、この本ページが足りないわ!」 ある日遠子が図書館から借りてきた本は、切り裂かれ、ページが欠けていた―。 物語を食べちゃうくらい深く愛する“文学少女”が、これに黙っているわけもない。 暴走する遠子に巻き込まれた挙句、 何故か文化祭で劇までやるハメになる心葉と級友の芥川だったが…。 垣間見たクラスメイトの心の闇。追いつめられ募る狂気。 過去に縛られ立ちすくむ魂を、“文学少女”は解き放てるのか―? 大好評シリーズ第3弾。 ●カルガワさんの書評
前回までからすれば予想できない展開が待つ、 しかし怒涛ではない急展開が用意された革命的展開の今巻。 これから手に取る方におすすめすることはまず、この感想を読まないことです。 とりあえず、読んだ後の感想は、速く続きが読みたい の一点に尽きであろう今巻。 今までの作風をふまえた上、前回しんみりとしたかイメージが強く出ていたこともあって、 いつものようになにか残るものがある読了感を味わい終わると…… 誰もが準備し気持ちを完全に終了に置き換えていた所で、 闇討ちのような最後の数ページの衝撃。これで次が読みたいと思わない人はいないでしょう。 今までの巻がしんみりある程度予想ができた結末、 しかし後に残るものが多かったイメージに対して今巻はまさに不意打ちと衝撃に満ちている。 今巻前半と終盤、本を閉じれば物語が終ってしまうのか、 そう思っているのならあまりにも味気が無い、と、遠子さんは語る姿が目立ちます。 今巻はこの言葉の通り、作中所々、以前に 「前回で解決したはずの、というかこっちがそう思っていた」キャラが、 しかし根本的にはまだ何か終っていないことの一端を突然匂わせます。 そこがまた不意と不安の隙間ついてきて唖然とする、というか正直ビックリします。 そしてそのことは今巻ではあきらかに解決しているとはいえません。 最後の衝撃もそれにしかり、彼らはまだなにか隠していることが、 秘めていることがたくさんあるのだと気付かされる描写が多く存在し目立ちます。 じらされるというか焦らされるというか、 前巻までとはあきらかに読み終えたあとの心臓の鼓動というか心持が違うことだと思います。 今巻はそんな多くの衝撃と伏線がてんこ盛りで、 とても読了感にしっとりと浸っている暇なんか無いです。
だがしかし、読み終わった人なら透けて見える彼の将来の暗雲が、 またこちらをやきもきとさせる憎い展開です。 こっちから先はネタバレですが。 せっかく他人にかかわり、友達になろうとしていた行動の矢先に、 その友人が彼にとってもっとも大事な秘密を隠していることになろうとは。 読んでいる者としては、この先確実になにか争いごとになることが透けて見えるこの急展開。 いかん、本当に先が気になるの一言に尽きますなこの巻は。
(先輩の本を食することでのコンプレックスが強く出ていたりと、 設定の放置ぶりもここらへんで目立たなくなります) ので特に自分的には目立ったところは見当たりません。 がこれこそ仕方ないことだとは思いますが、今までになく後味の悪いというか。 次巻の展開と伏線がドドンの予定されすぎて、どうもしっくりおさまらない、 そんなものを残してここで終わりんな〜という良い焦らし方の終り方は、 きっと嫌いな人は嫌いじゃないかな、今までの色より少しばかり離れすぎている感は否めません。 特に今までのイメージが好きで読み続けていた人にとっては、 ちょっとどうなのかなと疑問には残る終り方だとは思いました。 ●紅葉さんの書評
自称“文学少女”の天野遠子は切られている事に怒り犯人を捕まえる事を決めた。 そして、天野遠子の提案でなぜか文芸部は文化祭で劇をする事に――! “文学少女”シリーズ第三作目です。 今作では心葉のクラスメイト、芥川一詩にスポットが当てられます。 彼に隠された謎、秘められた過去。文化祭の劇を通して明かされていきます。 最後は予想しなかったラストが待ち受けています。 見所としては、やはり天野遠子先輩の語りです。 本を食べ物に例えて美味しそうに語る彼女は本当に可憐で素敵だと思います。 クライマックスにも彼女は物語を読み解き、それを静かに語ります。 やはりそこはとても神秘的で、他にはない面白さを含んでいます。 この作品は、所々にあるキャラクターの一人称で語られる部分があります。 本来は心葉の一人称なのですが、そこだけはあるキャラの一人称で語られるのです。 その部分はそのキャラの心の葛藤だったり、重要な伏線を含んでいる場合があります。 私も読み終わった後、そのキャラが誰なのかはっきりして納得しました。 第一作から読み始めた人にとっては、最後は本当に衝撃的です。 いや、まさか――と思うほどです。それ位、すごい真実が明かされています。 恋に悩む人。作中にあるような激動の恋はそこまで現実にあるかわかりません。 あなたも“文学少女”と共に、物語を読み解いて見ませんか。
天野遠子先輩はそれはもう可愛くて仕方がありません。 それでいて物語を語り、読み解いた物語を語る場面は非常に可憐です。 きっと彼女を嫌いだという人は、この作品を読む人の中にいないと思います。 井上心葉は不幸な少年です。 不幸から立ち直る事が出来ず、友達を作ることや誰かとの密接な関係を避けてました。 それでも今作により前向きになっていきなんか格好良くなっています。
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“文学少女”と穢名の天使
文芸部部長、天野遠子。物語を食べちゃうくらい愛している この“文学少女”が、何と突然の休部宣言!? その理由に呆れ返りつつも一抹の寂しさを覚える心葉。 一方では、音楽教師の毬谷の手伝いで、ななせと一緒に放課後を過ごすことになったりと、 平和な日々が過ぎていくが……。 クリスマス間近の街からひとりの少女が姿を消した。 必死で行方を追うななせと心葉の前に、やがて心葉自身の鏡写しのような、 ひとりの"天使"が姿を現す――。 大好評シリーズ第4弾!
今作では、主人公井上心葉に想いを寄せる琴吹ななせが重要な役柄を担っています。 彼女の親友、水戸夕歌の失踪により物語は動き出すことになるのです。 “文学少女”シリーズは、実在する文学作品を元にストーリーが展開されます。 キャラは違ってもキャラ同士の関係や構図が、実在の文学作品と似ているのです。 このお話は、有名な「オペラ座の怪人」をベースに話が進んでいきます。 実在の文学作品と、小説内の物語の紡ぎだす見事な調和に驚かされます。 著者の描くキャラの葛藤や交錯する想いに胸が締め付けられました。 失踪した友人を探すななせの不安や、それを支える心葉の葛藤。 消えてしまった友人が、どうなったのか真実を知ることを心葉は拒みます。 真実を知ることが正しいとは限らないのに、と。 しかし、ななせの友人を想う勇気に心葉は立ち上がり真実を探り出します。 そして行き詰って、どうしようもない時――現れたのは“文学少女”だった。 彼女の想像によって、暴きだされた真実は切なく哀しい。 クライマックスは本当に感動しました。 ぜひ、読んで頂きたいなと思います。
この小説は一人称小説で彼視点で進むのですが、結構共感できました。 彼の優しさや、時折見せる涙もとても印象があります。
まあそれでも、十分おもしろいのであまり気にはなりませんでしたが。
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“文学少女”と慟哭の巡礼者
遠子の受験・卒業を目前にし、寂しい思いにとらわれながらも、 ななせと初詣に行ったりして、和やかなお正月を迎える心葉。 だが、ななせがケガをし、入院先に見舞いに行った彼は、 その心を今も縛り付ける、ひとりの少女と再会する――! 過去に何があったのか。そして今、彼女は何を望んでいるのか……。 心葉は、そしてすべての物語を読み解く”文学少女”は、その慟哭の中から、 「真実の物語」を見つけ出すことができるのか!?
1巻2巻3巻4巻と続いてきた大きな物語の流れを、ここで一旦総決算する形になっています。 そのためか、これまでのシリーズの中で最も長いです。 このシリーズのコンセプトは「名作文学のオマージュ」ですが、 おそらく今までの中では元ネタが最も有名なのではないでしょうか。 この作品は、 1、元ネタが読者には提示されている 2、語り部(井上心葉)とは別のキャラクターの一人称が挿入される。 (これは、ミステリーに譬えれば犯人の手記が載っているのと同じことです) の二つの理由により、本来非常に読者にとって 展開の先読みがしやすいという欠点があるはずなのです。 しかしそこが作者・野村美月の凄いところで、これだけ読者に情報を与えながらも、 巧妙な誘導によって読者に「正解させない」のです。 私も、かなりいろいろと先読みはしていました。 しかし、終盤で明かされた真相は、その先読みの遥か上を行くものでした。 「やられた・・・」と呟いたほどです。 そして、物語はラストへと向かって一気に展開していきます。 340・341ページに引用されている文章は、最早誰もが見慣れていて、 さしたる感動を覚えなくなってしまったほど有名なものです。 しかし、このシーンに用いられることで、名文はもとの輝きを取り戻しているのです。 さらに直後に続く感情吐露のシーン、この一連の流れは感動せずにはいられません。 第九章最後の一行は、心が洗われるような気分さえします。 今までの全てを決算したストーリーのエピローグには、とてつもない伏線が張られます。 最初から最後まで目が離せない、素晴らしい作品だと思います。
出来事の背景にある真相を明らかにするのみならず、出来事の当事者達が、 今後進むべき道すらも示してくれる、そんな“文学少女”の活躍、お見事です。 彼女に対して抱いている思いは「お気に入り」とか、 そういうのよりむしろ「敬意」であるような気がします(笑) 琴吹ななせ。 シリーズ開始当初から、そのストレートなツンデレっぷりが賛否両論なヒロインなのですが、 4巻・5巻と続けて読むと、そのあまりの健気さが可愛くて仕方がなくなってきます。
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“文学少女”と神に臨む作家
「わたしは天野遠子。ご覧のとおりの“文学少女”よ」 ―そう名乗る不思議な少女との出会いから、二年。 物語を食べちゃうくらい愛するこの“文学少女”に導かれ、心葉は様々なことを乗り越えてきた。 けれど、遠子の卒業の日は迫り、そして―。 突然の、“文学少女”の裏切りの言葉。愕然とする心葉を、さらに流人が翻弄する。 「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」 ―遠子に秘められた謎とは? 心葉と遠子の物語の結末は!? 最終編、開幕。 ●白野 紅葉さんの書評
……感動で言葉が出てきません。 まず作者の野村先生の腕に舌を巻きます。 伏線の回収の仕方や、主人公の一人称であるにも関わらず浮かぶキャラの心情。 そして何よりも驚愕の真実。言葉の一つ一つ全てが鳥肌ものです。 読み終えたとき泣きますよ。 あの時のあの人物の行動の理由、あの時の言葉の理由。 全部全部明かされて、スッキリして心に隙間ができた感覚に陥ります。 ここからはネタバレです。 井上心葉の言葉にこんな言葉があります。 『ぼくはこれから、道化のように、哀しみを隠して笑おう。 ときに幽霊のように渇望し、ときに愚者として決断し、堕ちた天使のように穢れにまみれても、 月と花を胸に抱いて、聖地へ向かう巡礼者のように歩き続けよう。 そうして、神に臨む作家になろう』 ――お分かりですか? 私は大泣きしました。 このシリーズを読んできた方なら絶対に感動する言葉のはずです。 私はなぜ天野遠子があんな選択をしたのかわかりません。 でも井上心葉のため、すべてそうするしかなかったのかもしれません。 私は彼女の選んだ道に、泣きながら納得するしかありませんでした。 ネタバレ終わりです。 この作品に出会えた事に感謝します。 親愛なる“文学少女”へありったけの感謝と愛情をこめて。
ついに立ち上がり、前向きに歩んでいく姿がかっこいいと思いました。
●ひすいさんの書評
それに加え、“文学少女”シリーズ唯一の上下巻構成となっています。 正直、ここまで鳥肌が立った作品は初めてだったような気がします。 伏線、意外性、構成……様々な面で感嘆しました。 一作目から、何となく軽い感じで読んできたのがこの巻で一転しました。 内容が重いといえば重いんです。 ただ、それでも登場人物たちの葛藤が、とてもリアルに描かれていて…… 共感出来るからか、読んでみて心が沈んでしまうかといえばそうでもない。不思議です。 また、前半と後半で登場人物達に抱く感情も大きく変化する作品です。 前半は主人公の先輩、遠子先輩の弟である流人に対してうざったいと感じ、 主人公と、それと付き合っているななせに半ば同情しながら読んでいましたが、 下巻になって物語が後半に連れ、流人に対して同情するようになっていました。 そして、“文学少女”シリーズを締めくくるクライマックス。 沢山のどんでん返しに驚きつつ、主人公の成長を感じながら、 この作品の世界観にどっぷりと浸かることができました。 エピローグを読み終えた後はひたすら余韻に浸っていたいという感じに包まれたりも……。 分からない、というのは私の説明が下手というのもありますが、 実際に読んでみないと分からない良さが沢山含まれた作品だと思います。
上記の通り、作品の最初と最後とでキャラの印象が異なる作品です。 前半は、ななせの一途に心葉を想う姿に好印象を受け、 後半は最初と比べて段々と成長し、自分の行く道を見据えることのできた心葉がたまりません。
個人的には法律や犯罪を軽く見ている感じがしました。 犯罪を犯しても普通に暮らして居られる、というキャラがいたりします。 また、所々で入る回想(というか伏線とか、そういうのでしょうか)が鬱陶しかったりも……
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