レッドアイズ

第2話 魔公爵まこうしゃく  

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 視界が細波のように揺れると、遠くに見えた殺戮さつりくの現場が眼前に迫っていた。
 1200馬力の12気筒エンジンの駆動音を轟かせ、戦車はチェルシーの前方を我が物顔で驀進ばくしんしている。
 頑強な装甲に物を言わせ、戦闘車両『ティーガー3』は人だろうが建造物だろうが、お構いなしに蹴散らしていた。
 黒煙を吐き出すその後ろ姿を見据みすえながら、ずぶ濡れのチェルシーはそばにあった水銀灯をつかむ。
 冷たい金属の柱は、両手で掴めるほどに細い。
 こんな物が、重装甲が売りの『ティーガー3』に通用するかは疑問だが、とりあえず敵の注意をこちらに引きつけることはできるだろう。
「はっ!」
 足を踏ん張って、彼女は高くそびえた水銀灯を垂直に引っ張る。
 夜を待っていた照明灯は、少女の細腕によって、呆気なく地面から抜けた。 
 当人ですら薄ら寒くなるような怪力だが、我先にと逃げ惑う人々にそれを見咎みとがめて騒ぐ者はいない。
 水銀灯をかついだチェルシーは、全身の筋肉をたわめ、その切っ先を戦車に照準する。
「……っ!」
 裂帛れっぱくの気合いと共に、彼女は水銀灯をオーバースローで投擲とうてきした。
 繊手せんしゅより離れた金属の柱は、弾丸のような勢いで戦車に向かってすっ飛んでいく。恐るべき膂力りょりょくが可能とした、人間の常識と限界を鼻でせせら笑う、驚異の投げ槍術。だが、風を裂いて打ち込まれた水銀灯も、分厚い傾斜装甲版の前には無力だった。
 乾いた音と共に、戦車に激突した水銀灯はへしゃげて弾け飛ぶ。
 異様な攻撃を受けた『ティーガー3』は、いぶかしむように回転砲塔を旋回させ、チェルシーの方を向いた。
 停車した戦車の88mm砲に睨まれた彼女は、とっさに次のテレポート先のポイントを目算する。

 ドォオオオオン!

 戦車砲が破壊の雄叫おたけびを上げたのは次の瞬間だった。
 刃向かってきた相手の正体を見定めようともせず、圧倒的火力でもって粉砕ふんさいしようとは、なんとも好戦的な輩である。
 とっばちりの砲火を浴び、チェルシーの背後にあったお化け屋敷が無数の瓦礫がれきくずとなって吹っ飛んだ。
 間一髪、戦車の側面にワープアウトして、チェルシーは事なきを得えていた。
 だが、轟音に鼓膜こまくをつんざかれた彼女は、きつい耳鳴りに襲われる。イヤープロテクタ(耳栓)もなしに戦車砲の轟きを至近距離で聞いたのだから当然だ。
「…くぅ!」
 チェルシーは歯を食いしばって聴覚異常に耐え、手近に転がっていた清掃作業用のロボットを掴んだ。
 彼女の背丈の半分ほどもある箱形のAIユニットは、ふわりと路面より離れる。汚れやゴミを自動的に探知して、適切な掃除を行うこのマシーンは、乾燥重量だけで100キロを超える自重を持っていた。
 それを軽々持ち上げた彼女は、そのまま戦車のキャタピラの中にロボットを突っ込む。
 掃除ロボは、堅牢けんろう転輪てんりんに激突して簡単に砕け散った。薄っぺらな金属外殻からはみ出した機械部品や取り込んだゴミが、盛大に少女の足下にばらまかれる。
 だが、超人的なパワーによって圧せられた戦車の転輪もまた、キャタピラを押し上げて奇妙な形に歪んだ。これで敵の機動性は損なわれた筈だ。
「よし…!?」
 喜んだのもつかの間、チェルシーはハッチを開いて飛び出した搭乗員と鉢合はちあわせする。
 虚ろな顔をした若者の手に握られているのは、短機関銃ベレッタ・モデル12S…
 肝を潰した彼女は、一にも二もなく後ろに飛び退いた。
 同時に銃口が火を噴き、少女を蜂の巣にせんと大量の鉛玉を吐き出す。
 彼女は夢中で地を蹴って、売店とレストランの間に身を滑り込ませた。同時に足をもつらせて転ぶ。
「うぅ!」
 右足から這いのぼってくる激痛に、チェルシーは切歯せっしした。
 ばらまかれた9mmパラベラム弾の一発が、彼女の足に食い込んでいたのだ。それだけなく、弾丸の嵐は彼女の肢体したいの随所を擦過さっかし、純白のワンピースを赤く染めていた。 
  窮地きゅうちに落ちいたチェルシーは苦痛の声を絞り出しながらも、戦車の搭乗員が追い打ちをかけてこないことを怪訝けげんに思った。
(障害を排除するつもりが無いの……?)
 だが、左目の聖眼が旋回する戦車砲塔の動きを察知した時、彼女の甘い考えはぶっ飛んだ。
 敵は大砲で遮蔽物しゃへいぶつとした建物ごと、こちらを爆殺するつもりだ。
 チェルシーはギョッとしながらも、慌てず、騒がず、深呼吸。
 脳裏に瞬間移動先の情景を投射し、己の聖眼に宿った神秘の力を発動させようとする……
(あ……あれ!?)
 しかし、空間を飛び越える奇跡は一向に現出する気配を見せなかった。
 焦りと恐れ、傷の痛みが渾然一体となってチェルシーの頭を席巻せっけんし、精神集中を妨げているからだ。
 第二次成長期で聖眼保有者としての才能を開花させた彼女は、教官の誰もが目を見張るほどのエリートになっていたが、やはりまだ実戦経験に乏しい子供であった。
 清澄せいちょうな心でのぞまなければ、聖眼の特殊能力を上手く発揮することはできない。
 テレポートを実行できない焦燥が、さらなる焦りを生み、彼女は悪循環の泥沼にはまっていく。額に脂汗が噴き出し、両手が小刻みに振るえた。
 その間にもチェルシーの聖眼は、主の意思とは関係なく、機械駆動によって戦車砲に装填そうてんされる砲弾の状況を如実にょじつに伝えてくる。鉄の長筒に収まった砲弾は、息を潜めて解放の瞬間を待っていた。
 
 ゴォン!!ガゴン! 

 大地を揺るがす轟音に思わず目をつぶるチェルシー。
 だが、熱と衝撃が彼女を粉微塵にする瞬間はやってこなかった。
 きつねにつままれたような心境で目を開くと、彼女に引導を渡そうとしていた戦車が、巨大な鉄柱の群れに埋もれているではないか。
 赤い塗装の施された鉄柱は、一目でジェットコースターのレールであることが知れた。どうやら戦車の頭上で宙返りを描いていたレールが、落下してきたらしい。
「無茶するんじゃねぇ!」
 幸運の女神に感謝を捧げるチェルシーの耳朶じだを、野太い怒号が打った。
「父様!?」
 思わず振り返った彼女は、息を切らせて走り寄ってくる父の姿を目撃する。  
 疲労困憊ひろうこんぱいした彼の様子から、チェルシーは父が無理を押して聖眼の特殊能力を使ったことを悟る。レール落下のトラブルは僥倖ぎょうこうではなく、彼の見えざる力が引き起こしたものだったのだ。
 クリードの聖眼は10年前の任務の際に魔人によってえぐられ、その力のほとんどを失っていた。センサーとしての機能も、肉体強化の力も露と消え失せていたが、最強とうたわれた特殊能力だけはその残滓ざんしを残していた。
 手を触れずに物体に干渉かんしょうする、単純にして強力無比なる『サイコキネシス』の力を。
「呆けてるな、奴はまだ生きているぞ!」
 その警告と同時に戦車のエンジンが荒々しく咆哮ほうこうした。馬力に物を言わせ、瓦礫の中から強引に脱出しようというのだ。   
「は、はい!」
 威勢良く応えたチェルシーは、今度こそテレポートを実行。重力が倍加したような圧迫感を受けた後、彼女は戦車砲塔を足場として立っていた。
 足下で戦車が懸命に足掻あがく。
 だが、転輪を歪ませたのが効いたらしく、片方の履帯りたいが異様な音を立てて窮屈きゅうくつそうに回転していた。いかにエンジン出力が高くても、動力を伝える脚部が故障していては脱出は困難だ。しかも、搭乗員の出入り用ハッチも鉄柱に埋まってしまっている。
 無法の限りを尽した『ティーガー3』は、まさに、まな板の鯉となっていた。
「ふん!」
 チェルシーは、砲塔より伸びた88mm砲を力任せに引っ張る。
 大砲は根本からへし折れ、一瞬にしてただの鉄筒に変じた。
 ついで、彼女は砲塔側面に取り付けられていた7.92mmMG34機関銃を踏みつけ、二つに叩き割った。
 武装を破壊し、無力化に成功。
 あとはハッチを壊して中に侵入し、搭乗員を制圧すればお終い……
「……!?」
 チェルシーは、愕然がくぜんと顔を引きつらせた。しかし、それは足下を血で濡らす傷の痛みからではない。
 神より与えられた彼女の超感覚器官が、脅威の事態を主に告げていたのだ。
(まさか……)
 刹那せつな
 爆音と共に地上に屹立きつりつした火柱が、コースターの瓦礫を天高く舞い上げた。
 兵装を潰され、鈍重な亀に成り下がった戦車が自爆したのである。
「チェル!?」
 血も吐かんばかりにクリードが絶叫ぜっきょうした。
 炎上する『ティーガー3』の残骸を凝視ぎょうしして、彼は小刻みに戦慄わななく。炎の照り返しを受けて真っ赤に染まった彼の顔は、幾多の感情を映して醜く歪んでいた。
「だ、大丈夫です。父様……」
 そんな彼を安心させようと、チェルシーは努めて明るい声をかける。
「チェル!?上にいるのか?無事か!?」
 弾かれたように頭上をあおぐ父に、レストランの屋上から身を乗り出した彼女は強張った微笑を送った。
 危険を察知したチェルシーは、寸前のところで短い距離の瞬間移動を行い、死神の誘いを退けていたのだ。
 だが、今のはまさに死ぬかと思った。後一瞬、判断が遅れていたら間違いなく神の御元に召されていただろう。
 極度の精神集中を立て続けに強いられた彼女は、精根尽き果て、その場にうずくまる。
 多くの謎と疑問が残ったが、事件は無事解決したのだ。
「たっく、おどろかせるな」
 下でクリードが安堵あんどの息をつくのが聞こえた。いつも泰然たいぜんと構えている彼も、今回ばかりは慌てたようだ。

 パチパチ

 そんな父娘をたたえるかのように、拍手が鳴り響いた。
 唐突に側面から浴びせられた賞賛しょうさんに、チェルシーは泡を食って首を巡らせる。
「素晴らしいアトラクションを、どうもありがとう」
 手を鳴らす青年は、天使のような笑顔を彼女に向けた。
 一体いつの間にそこに現れたのか?
 男に声をかけられるまで、チェルシーは彼の存在に全く気づかなかった。超感覚器官『聖眼』の監視の目をすり抜け、その若者は忽然こつぜんと姿を現したのだ。
「必死に戦う人間の姿は、やっぱり美しいよ。ただ戦車で遊園地を壊して遊ぶより、よっぽど面白かった」
 ツイードのスーツを小粋こいきに着こなした若者の容貌ようぼうは、不自然なまでに端正だった。
 およそ、生身の人間にあるべき欠点というものがない。その透けるような美しい顔に見つめられると、それだけで魂を抜かれてしまいそうになる。
 月華げっかのごときブロンドの長髪。
 白磁はくじのような白い肌。
 ルビーもかくやの真紅の双眸そうぼう。そのすべてが、まるで芸術品のようで……赤い両目!?
「あ、貴方は……!?」
 黄金比で計算され尽くされたような秀麗しゅうれい面貌めんぼうを凝視して、チェルシーは鋭い誰何すいかを浴びせた。
「ああ、そんな強張らなくて良いよ『オッド・アイ』のお嬢さん。ボクはキミに危害を加えるつもりはないからね」
 芝居がかった仕草で、美丈夫びじょうふは肩をすくめてみせる。
 だが、相手の正体に感づいた彼女は、緊張を解く気になど到底なれなかった。
 赤は、聖魔の色素と呼ばれている。     
 神と悪魔。そのいずれかの超常存在に選ばれた者が瞳に宿す、選民の証だ。
 神の使いと謳われる聖眼保有者は片目に赤い色素を宿し、悪魔の使いと恐れられる魔人は鮮血にも似た真紅を両目に宿す。
 目の前の若者は、自分と同じ片目だけ赤い『オッド・アイ』ではなく……完全な『レッド・アイ』だった。
「……ま、まさか」
「もしかしてキミ、魔人に会うのは初めてかい?」
 怯えるチェルシーに、魔人の若者は人なつっこそうな笑みを浮かべる。
 屈託くったくのない笑顔は無害に見えるが、それが仮面であることを彼女は知っていた。魔人の精神構造は人と酷似こくじしているが、両種族が心を通わせ合うことは決してない。
 なぜなら人と魔人は、被捕食者と捕食者という関係にあるからだ。
 魔人は人を食い、人は滅ぼされまいと必死の抵抗を試みる……そんな呪われた関係が紀元前以前から連綿れんめんと続いている。
 そして、聖眼保有者は唯一魔人に対抗しうる力を持った人間として、常に生存競争の矢面に立って戦ってきたのだ。  
「……っ!」
 チェルシーは己の内から湧きだす闘争本能に従った。
 魔人は人類の仇敵きゅうてき。彼らは人間を、ハンティングの獲物としか見ていない。危害を加えるつもりはないなど、詭弁きべんにしか思えなかった。
 その証拠に、彼は戦車による破壊行為の黒幕であることを喜々として語ったではないか。
 彼女は素早く跳ね起きるや、手加減無しの正拳突きを繰り出す。
「おっと」
 暴風となって迫った拳を、魔人は上体を反らして難なくよけた。
 常人なら擦過しただけで脳震盪を起こすストレートも、当たらなければ意味がない。
 唇を噛むやチェルシーは、息もつかせぬコンビネーション攻撃を打ち込む。
 巧妙なフェイントを織り交ぜた連打の嵐。
 だが、それすらも魔人は柳に風とかすらせもしなかった。
「おいおい、乱暴な娘だな」
 怪我を押して戦う少女の左腕を、閃光のように飛来した手が掴む。
 チェルシーは慌てて魔人の五指を振りほどことするも、それより一瞬早く手首をひねられた。
「あぅ!?」
 手首の関節がはずされ、左手がだらんと垂れ下がる。
 脳髄を焼くような激痛に、彼女はなりふり構わず蹴りを放った。
「その程度かい?」
 右足を軸にして打ったローキックも、虚しく空を裂いただけに終わった。
 空振りした力を負傷した足ではさばききれず、チェルシーはもんどり打って倒れる。
 彼女は恐懼きょうくを感じた。
 聖眼より流入する凶暴な力を、全解放して戦っているというのに、敵にかすり傷ひとつ与えられない。
 この力は……不用意に発動させれば、人一人を簡単に殺せてしまうほど強力だというのに……
 唐突とうとつに開花した強大な力を持て余していた少女は、今、逆に己の無力さを恨めしく思っていた。
「まあいいや、楽しかったよお嬢さん。ていうかボク、なんだかキミのこと気に入っちゃったな」
 心底楽しそうに微笑しながら、魔人が倒れたチェルシーを抱き起こす。
 蒼惶そうこうとなった彼女は、男を引きはがそうとするも、相手はまるで溶接でもしたかのように離れてくれない。
「そうだ。キミにボクのお嫁さんになってもらおう。実はボク、人生のパートナーを探していたところなんだ」
 思いがけないプロポーズ。
(え?え!?)
 絵に描いたような美青年からの愛のささやきに、未だ恋を知らぬ少女の胸は思わず高鳴った。
 だが相手は魔人だ。
 彼らが人間の女性を伴侶はんりょに選ぶのは、愛などというロマンチックな感情からではなく、単純に子孫を残すためである。
 魔人族には、どういう訳か女王を除いて女性がおらず、パートナーを人間の娘から捜し出す習性があった。そして、魔人の精を身に受け入れた娘は、悪魔の力の一部を受け継ぎ、魔人の走狗そうくとなるのだ。
「だ、だれが……!」
 我に返ったチェルシーは必死に腕を突っ張るも、美丈夫はビクともしない。
 魔人の手先……汚れた魔女になることなど、聖眼保有者の彼女には考えられない堕落だった。
「大丈夫。キミのことは大事にするよ」
「……あっ」
 しかし、どういうことだろう?魔人からの固い抱擁ほうように、チェルシーは安らぎを感じ始めていた。
 とろけそうな至福の安堵感が、少女の心を満たしていく。    
 なにかがおかしい。
 そう理性が警鐘けいしょうを鳴らすが、身体はもはや抵抗をやめていた。
(このままこの人の花嫁となれたらどんなに幸せだろう……)
 そんな馬鹿げた考えが頭をもたげ、徐々に膨らんでいく。            
「人様の娘をたぶらかすんじゃねえ。色情魔人!」
 灼熱の怒気をはらんだ声が響いたとき、チェルシーの頭に生暖かい液体が浴びせられた。
 見れば、魔人の頭部が消え失せ、代わりに噴水のような鮮血が噴き出しているではないか!?
「き、きゃあぁあああ!」
 力を失った両腕から地面に落とされた彼女は、つくばってその場から逃げだす。
「大丈夫か、チェル!?」
 恐慌きょうこうに陥ったチェルシーを、大木のような腕が抱え上げた。
 それはいつの間にか屋上に上がってきてたクリードだった。
 彼は閉じられた左目から血を垂れ流しながらも、首無し死体となった魔人を睨み付ける。
「と、父様!?」
「お前はとっとここから逃げろ。それで教会に通報して、魔人狩りを派遣してもらえ!」
 油断無く敵の動向を見据えながら、クリードが娘に命じた。
 チェルシーは訝しく思う。もう戦いの決着はついたのではないのか?
「今のはサイコキネシス?驚いた、こんな強力な使い手がいたなんて」
 頭がないにもかかわらず、朗々たる魔人の声が響いた。
 息を飲むチェルシーの眼前で、魔人の首から肉芽が盛り上がり、うごきながら頭を造形していく。
 グロテスクなその光景は、思わず目をそらしたくなるものだったが、彼女はその一部始終を見届けた。
 頭部を破壊されても瞬時に修復してしまう、原始生物並みの再生能力……
 相手は、かなり高位の魔人だ。おそらく魔貴族クラスに違いない。
「敬意を払って名乗ろうか、ボクはベイオルド・フォースアウト」
 傷一つ無い麗しい相貌そうぼうを取り戻した魔人が、高らかに名乗った。

 


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