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ブスのための恋愛方程式

 私みたいにブスな女の子には、素敵な恋愛なんてできっこない。

「いっけない、また遅刻しちゃう!」
 私は、バターも塗らないトーストをくわえ、セーラー服のリボンを結びながら、ぼさぼさの髪を振り乱して家を飛び出した。
「行ってきます!」
 背後から「牛乳も飲みなさい!」と母の声が聞こえたが、かまっちゃいられない。
 私ってどうしてこうなんだろう。鈍くさくて我ながら嫌になる。夕べ、少女漫画を読みふけっていたらいつの間にか午前四時になっていて、ベッドに入ったものの素敵な恋愛を妄想して寝付けなくて、気が付いたらこの有様だ。
 走りながらトーストを食べるのは難しい。なかなか咀嚼できないので、口にくわえたまま、猛スピードで曲がり角をコーナーインした。
「痛っ!」
 突然顔面に衝撃が走り、私は尻もちをついた。弾みでトーストを落としてしまった。ああもったいない。
「ごめん、大丈夫?」
 頭上から、男の声が降ってくる。
 ちゃんと前見て歩きなさいよ! と怒鳴ろうとして相手を見上げると、なんとなんと、まるで漫画に出てきそうな超絶美形の男子が立っていた。
 まるでハーフのような彫りの深い顔立ち。長いまつげ。加えて、風になびくロングヘアー。
 このシチュエーション。もしやこれは、恋の予感というやつでは……。
 彼は優しい瞳で微笑んで、トーストを拾い、手でゴミを払って私に差し出した。
「はい、三秒ルール」

 やっぱり恋は始まらなかった。


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