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| 目次 はじめに |
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はじめに
私は多くの投稿小説を批評してきて痛烈に感じたことがあります。 それは…… たいていの人が世界観を、ないがしろにしているということです! こんな話が書きたい! という気持ちだけが先行して、舞台設定をまるで練っていません(汗)。 本当にその世界が存在していると、どうなるのか? その世界に住んでいる人間はどんな考え方を持つのか? 文化は? 産業は? 生活水準は? 暮らしは? どんな家に住んでいる? 服装は? こういったバックグランドをまるで考えないで、 ただ自分の書きたいことだけ書いては、読者に呆れられます。 おざなりの舞台装置で演じられる物語は、そりゃあもうみすぼらしいものですよ。 「あ、ママ見て!あのお家、段ボールでできているよ!?」 と観客席から子供の矯正と、失笑のざわめきが響いてきます。 世界観がきちんと練られていない小説は読み手の信用を失わせます。 「ダメだこの人、資料も読んでいない上に設定も練っていない。テキトーに小説書いてら」 と思われたら、その時点でお終いです。あなたの小説はそれ以上、読まれません。 ▲ページの先頭へ |
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世界観とは何か?
世界観とは、読んで字のごとく世界の「観」方です。 もともとは、民族学でしばしば用いられる学術用語でした。 例えば、「イスラム人の世界観」などという使い方をします。 イスラム人の世界の「観」方は、当然、日本人とは異なります。 彼らの多くはアラーの神を唯一神と崇め、聖典「コーラン」の教えに従って生きています。 この世界はアラーによって作られ、アラーの教えに従って生きるのが正しいのだという世界観です。 また、江戸時代の世界の「観」方と、現代日本の世界の「観」方も異なります。 江戸時代は士農工商制度があり、お侍が一番えらいという価値観が支配していました。 「徳川家康公は神様と同じで、オラたち農民は、とにかく畑を耕して年貢を収めなけれならん! さっさ、とっと畑を耕しに行くだ!」という訳です。 江戸時代を舞台にした小説を書いたら、 読者はその登場人物を通して、江戸時代の世界を観ることになります。 その際、登場人物が現代日本人とあまり変わらない世界の「観」方をしていたらどうでしょう? 例えば農民が、「オラ、今日から温泉旅行に出るだ!」と気軽には言えません。 江戸時代に農民が旅に出られる理由は神社や寺院への参詣のみです。 温泉旅行に行くなどお上の許しが出ませんし、 土地によっては温泉という存在自体を農民は知らないかもしれません。 また道中、護身用の武器も持たずに歩けるほど、宿や街道が整備されたのは江戸も中頃でした。 山賊や獣に襲われることも含めて、旅には現代日本では想像できないほどの困難を伴ったのです。 江戸時代の農民は、ちょっくら旅してくるわ、なんて発想自体を持たないでしょう。 しかし、ろくに歴史の資料も読まずに、現代日本的な発想で江戸時代を描いてしまうと、農民に 「オラ、今日から温泉旅行に出るだ!」 と言わせ、リアリティをぶち壊しにすることになります。 江戸時代の人々の世界観と現代日本の世界観が違うということを、 考慮に入れなければならないのです。 このように同じ地球上でも、土地、民族、環境、時代、によって世界観は大きく異なるのです。 これが異世界を舞台にライトノベルだったらどうでしょう? 異世界の住人が日本人と同じ世界の「観」方をしていることなど、絶対に有り得ません! 例えば、15歳で元服(成人)を迎えて結婚できるような世界の少年少女が、 日本の中高生と同じような感覚で生きていると思いますか? 答えはノーです! 15歳で結婚できるような世界の少年少女の精神年齢は、日本の中高生よりはるかに高いでしょう。 そのため考え方もシビアになるでしょうし、恋愛観や貞操観念も異なってくると思います。 この辺を理解してないと、世界観作りに大失敗してしまいます。 世界観作りとは、単に設定を作り込めば込めばイイというものではないのです。 もし専制君君主制だったら、もし徴兵制度があるとしたら、もし電気や水道が無かったら、 もし、ドラゴンや魔法が実在したら、その世界の人々はどのような価値観や行動様式を持つだろうか? と考えてシミュレートしなくてはならないのです。 素人の作る異世界ファンタジーを読むと、 日本の少年少女となんら変わりない思考の持ち主がゴロゴロでてきます。 さらにひどくなると、現代日本の世界観どころか、 ゲームの世界観をそのまま転用している小説まであります。 少年少女が遠足気分で魔物や山賊退治に出かけて、当然のごとく勝ってしまうような物語です。 そんな作品にはリアリティの「り」の字もありません。 ▲ページの先頭へ |
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魔法や超科学の存在する世界の常識は、私たちの常識とは違う
ライトノベルは、魔法や超能力、超科学が登場する架空の世界を舞台とした話がほとんどです。 当然、魔法や超科学が存在する世界の常識は、私たちの常識とは異なっています。 ライトノベルは、誰でも簡単に作れる敷居の低い分野だと思っていませんか? もし、そう思われていたらそれは大間違いです! 一般の小説は、現実世界を舞台にしています。 そのため、資料集めさえキチンとしていれば、世界観作りにはそれほど悩まないのです。 江戸時代の文化や風習、生活様式を調べれば、江戸時代の世界をリアルに再現できます。 中世ヨーロッパの文化や風習、生活様式を調べれば、中世世界をリアルに再現できます。 でも、ライトノベルの場合は、架空の世界を自分の頭で生み出さなければなりません。 魔法が実在する西洋ファンタジーを描くのなら、 中世の世界をそのまま再現したのではダメなのです。 魔法を社会基盤に取り込んだ、変質した中世世界を描かなくてはなりません。 どういうコトなのか、例を上げて解説しましょう。 ●例1 ファンタジーには回復魔法というのが良く登場します。 怪我や病気、呪いを治すことができる大変便利な魔法です。 たいていヒロイン役となる美少女魔法使いが身につけています(笑)。 しかも、たった2,3年ほどの軽い修行で……(汗)。 これを踏まえた上で質問します。 この世界に現実世界と全く同じ『医者』という職業があったら、どうでしょう? お医者さんは、病人や怪我人の診察をして、その人にあった治療法を何日も続けて行います。 無論、治療の際には薬や包帯、消毒液といった医療品を消費します。 一方、美少女ヒロインは、呪文を唱えるだけでお手軽に患者を治せてしまいます。 競合した場合、商売として成功するのはどちらでしょう? そもそも、この世界で医術が発展すると思いますか? 回復魔法が誰でも修得ができるような簡単なモノであるのなら、 医者などという職業は生まれないでしょうね。 なにしろ、苦労して医術を身につけたとしても、 その労力にあった見返りは得られないのですから…… おそらく医者の代わりに、医療魔法士などといった職業が繁栄するでしょう。 でも、医術と違って回復魔法を覚えるのは簡単なので、 それほど尊敬される職業ではないでしょうね。 魔法を登場させるなら、魔法を生活基盤に取り込んだ世界がいかなるものであるか、 細部にわたって想像できないとリアリティが生まれません。 ●例2 もう1つ。 例えば瞬間移動できる魔法があるとしましょう。 これは、魔法学院の中等科で教える魔法で、 魔法使いの称号を得た人なら、誰でも使えるという設定です。 これを踏まえた上で質問します。 この世界では、中世ヨーロッパと同じように、 馬車が上流階級の主要移動手段に使われているでしょうか? ……考えてくださいました?(笑) ちょっと想像力を働かせればわかると思いますが、おそらくそんなことはありえないでしょうね。 『時は金なり』はいつの時代、世界でも同じでしょう。 一瞬で行きたいところへ行けるような瞬間移動魔法があるのに、 ソレをメインに使わないのはおかしいです。 趣味や道楽で、馬車を使う人はいるでしょうが、 大多数の貴族は、お抱えの魔法使いを雇って瞬間移動魔法を移動手段に使うでしょうね。 そうなったら、城壁や門というものの存在意義が希薄になりますから、 物理的な防衛施設より、瞬間移動を防ぐための結界技術の方が発展するでしょう。 城壁も中世と同じモノではなく、結界を生み出すための魔法陣とか呪文とかがビッシリと描かれた、 不気味なモノになるかもしれません。 道は、馬車が通ることを想定しない道幅、舗装になるでしょう。 あなたはどう考えますか? いろいろ想像してみてください。 ▲ページの先頭へ |
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描きたい展開だけに目がいくと、底の浅い世界になる
小説を書く一番の動機とは、おもしろい作品に出会い、 それと同じような小説を書いてみたいと思うことでしょう。 この想いが強いことは、小説を書く原動力になるので悪いことではありません。 ところが、この想いにばかり囚われて周囲の事情に目が行かないと、 底の浅い世界観ができあがります。 ●例1 城の生活がイヤで、国を飛び出したお姫様がいたとします。 で、お姫様を拉致しようと狙う敵国の兵士がやってきます。 お姫様は魔法使いで、呪文を唱えただけで、あっさり敵を撃退しちゃいました。 この話にリアリティを感じるでしょうか? 私はまるで感じません。 第1に、王城でぬくぬく育ってきた少女に負けてしまうような兵士って、兵士と言えるのでしょうか? 兵士とは、戦争を想定した厳しい戦闘訓練を受けている者です。 当然、魔法使いへの対処法なども訓練さているでしょう。 第2に、王女が魔法使いとしての優れた才能を持っているのなら、 それ以上の魔法使いを用意して捕獲しようと敵国の軍部は考えないのでしょうか? 兵士は消耗品じゃありませんし、最初の任務に失敗して王女を警戒させたら、 再チャレンジの成功率は極端に落ちます。 「怖い目にあったので、やっぱりお城に帰る!」なんて心変わりされたら、目も当てられません。 王女を捕らえる千載一遇のチャンスを、ずさんな作戦でドブに捨てるなんてマヌケのやることです。 このように、 描きたいことだけに目を向けて、周囲の事情にまで考えが及ばないと、 リアリティの無い小説になります。 そんな小説は底の浅さがわかった時点で、多くの読者が見限って読むのをやめるでしょう。 ●例2 次の例を出します。 当サイトの「新人賞の間」に投稿された小説の中にあったセリフです。 「後ろ暗い連中が、あいつらを雇って標的を殺させる。成功率はほぼ10割。規模がでかいから、とりあえず撃退してもまた別な奴がやって来る」 この作品の中に出てくる暗殺組織「忍」は、ほぼ10割の成功率を誇る暗殺集団だそうです。 これだけで、著者が設定を深く考えていないことがわかります。 暗殺の成功率がほぼ10割などということはありえません。 後ろ暗い連中の相手は、おそらくそれなりの有力者です。 彼らも命がかかっていますから、プロの護衛を雇います。 プロの護衛は無論、対暗殺者用の訓練を受けています。 そんな相手と、10回戦って10回勝てる暗殺集団などいないでしょう。 暗殺というのは敵のテリトリーに侵入して行うのものなので、 守りを固めている相手に対してはほとんど成功しないのです。 そうでなければ、世の中の有力者はみんな早死にしてしまいます。 しかも、「忍」の刺客は、ヒロインである17歳の少女の暗殺に失敗して、返り討ちにされます。 もう1人、暗殺者が派遣されますが、 今度は彼女を守る少年に邪魔され任務を放棄して逃げ帰ります。 子供に負けるような、実に質の低い暗殺集団です。 こんな組織が、成功率10割なんて数字を出せるなんて信じられません。 また、とりあえず撃退したら、その時点で黒星がカウントさるでしょう。 言葉事態に、そもそも矛盾があります。 これまたリアリティが皆無です。 ●例3 もう一つ、投稿された小説にあった例を上げます。 「誰がためにキミは泣く」の一幕です。 主人公は魔法を教える魔法学園の生徒です。 彼は学校授業の一環で、 生徒同士で攻撃魔法をぶつけ合って戦うというバトルロワイヤルに参加します。 バトルロワイヤルでは魔法の腕輪を身につけます。 これは生徒の身を守るアイテムで、致死量の魔法攻撃を受けると、 バトルフィールドの外に瞬間移動されるという便利な代物です。 主人公は、このバトルロワイヤルを勝ち抜き、 最後に友人との一騎打ちで最上級攻撃魔法を使います。 なんと彼は、秘密図書館に保管されていた魔導書を読んだだけで、 この魔法を覚えてしまったそうです。 これまた恐ろしいほどリアリティがありません(汗)。 最上級魔法を本で読んだだけで身につけられるのなら、 彼は高い学費を払って学校に来る必要がありません。 学校に通っている理由は、 魔物を倒す戦士になるためだそうですから、もはや目的を果たしています。 また、どれほどの天才かは知りませんが、一読しただけで最上級魔法が会得できてしまうなんて、 この世界の魔法はなんとも底が浅いです。 さらに、一般生徒に貸与できるほど溢れかえっている魔法の腕輪は、 この最上級魔法さえ無効化してしまいました。 スゴイ矛盾を感じます。どこが最上級なのでしょう? おそらくゲームの発想で小説を書いているために、こういう事態になってしまったのだと思います。 ゲームの設定をそのまま小説に転用するようなことをすると、 オリジナリティだけでなくリアリティすらなくなります。 注意してください。 ●例4 あるオンライン小説で、このような記述がありました。 アデプト・クラスの魔法使い。小さな国を1体で滅ぼせるような中級の魔物を、 1人で倒せてしまうほどの存在である。 この文章を目にした途端、たいていの人が読む気を無くすと思います。 どこが悪いか解説しましょう。 国を滅ぼせるような魔物を、単身打倒できてしまうなら、 その人間は国家よりもはるかに強大な存在だということになります。 そんな者がいたら、国家権力というのは成り立たないでしょう。 彼は神にも等しい存在です。 強盗、殺人、強姦、放火、どんな犯罪を起こそうと誰にもとめられません。 国王でさえ、彼の自由を束縛することはできません。 彼の気まぐれ1つで、国家は滅亡します。世界秩序は崩壊です。 このアデプト・クラスなる者が、世界に数えるほどしかいないのであれば、まだイイでしょう。 俗世との縁を切り、世界の真理に到達するための研鑽を続けている…… とかいう設定なら納得できます。世界秩序は守られます。 しかし、これが、まだ14,5歳くらいのふつう少女だったら、どうでしょう? しかも、苦労もなく育ってきたような娘で、血筋も特別なものではありません。 そんでもって、主人公に誘われて、悪者を倒すための旅にホイホイ従います。 どうですか? 鳥肌が立つくらいリアリティがありませんよね(汗)。 どれほどの天才かは知りませんが、たかが10年ほど魔法を学んだくらいで、 その領域に到達できるなんてふざけています。 もう、それだけで、ものすごい安っぽさが鼻を突きます。 しかも、彼女は超イレギュラー存在というわけではなく、 こんな連中が、主人公の敵や仲間にはゴロゴロしているのです。 生きる大自然災害が無自覚に徘徊する世界……恐いですね(汗)。 ▲ページの先頭へ |
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聖剣、魔剣、霊刀の由来くらいは調べよう
ゲームなどには、エクスカリバー、ティルフィング、ロンギヌス、村雨といった、 なにやらカッコイイ名前の聖剣、魔剣、霊刀が登場します。 これらを原作や由来も調べずに、そのまんま小説で使うと失笑を受けることになります。 ●例 小夜の手にした刀は「村雨」。 人の生き血を啜り、魂を咀嚼して持ち主の霊力に変換する妖刀である。 その刃で切られた者は、どんな治療法でも傷を治すことができず、 激痛にのたうちながら死ぬ運命となる。 いにしえの時代より恐れられてきた最凶の刀だった。 一見、もっともらしい説明をしていますが、 村雨の由来を知っている人には顔をしかめられるでしょう。 そして、「資料も読まずにテキトーに小説作っているなぁ」と思われて、ジ・エンドです。 「村雨」とは江戸時代後期の人気小説「南総里見八犬伝」に登場する刀です。 創作上の剣であり、実在しません。 また、「村雨」は邪悪な妖刀ではなく、善玉である八犬士の1人・犬塚信乃が使った霊刀です。 しかし二次創作物では、妖刀として有名な「村正」と混同され、妖刀扱いされることが多いのです。 もし聖剣、魔剣、霊刀の類を登場させるなら、 その由来や力を調べ、どこから伝来されたかくらい知っておきましょう。 その他、伝説の武具の名前を借りてきて、 まったく別の武器、魔法、必殺技の名前に使うという時にも、 由来を調べておくことをオススメします。 実はネーミングのコツは、そこに意味を持たせることだからです。 例えば、北欧神話にはトールハンマーという、雷神トールが使う槌があります。 トールハンマーは、別名『ミョッルニル』と呼ばれ、すべてを打ち砕く力を持っていました。 投げれば相手を打った後に再び手元に戻り、掲げることで雷を呼び出すこともでき、 大きさも自在に変えることができたとされています。 『ミョッルニル』という名前を使うのでしたら、雷に関連する武器や魔法、必殺技、 強力なハンマーなどに付けた方が、ネーミング的にマッチするのです。 もし『ミョッルニル』という名前を炎を出す魔法の杖などに付けたら、 北欧神話を知っている人にとっては、なにかしっくりこないことになりますので要注意です。 ▲ページの先頭へ |
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読者は設定ではなく、ストーリーを読みに来ている
設定資料を細部まで作ることは、その世界にリアリティを与えるために必要な作業です。 有名なライトノベル作家では「トリニティ・ブラッド」の吉田直さんや、 「フルメタル・パニック」の賀東 招二さんなども、膨大な設定を書き連ねているそうです。 事実、彼らの作品は、矛盾など一切感じさせない、完成度の高いモノに仕上がっています。 設定を作り込むことは、大切なことです。 ただし、設定はあくまでストーリーを引き立てるための要素に過ぎません。 素人にありがちな失敗として、 せっかく作った設定を披露したくて、とにかく設定を書き連ねてしまうということが上げられます。 ストーリーにあまり関係してこない不必要な情報を書き込むと、 テンポが悪くなるばかりが、読者を混乱させてしまうことになるので要注意です。 読者は設定ではなく、ストーリーを読みに来ているということを忘れないでください。 例として、当サイトに投稿された『Libera me〜革命の聖女〜』の冒頭の一文を上げます。 ●例 帝国暦四七七年十二月二十五日――この日、アストリア帝国の首都ザンクト・フローリアンにあるエステルハーザ宮殿の「天堂の間」は、華麗な礼装に身を包んだ三千人を越える男女によって埋め尽くされていた。 天才画家ベルナルドゥスとその弟子たちが半世紀の生涯をかけて描いたとされる、天地創造の神話を題材にした荘厳な天井画が列席者たちを見下ろしている。 広間の奥には大きな真紅のカーテンが架けられ、その前には帝国における最高の地位を担う人々が佇んでいる。 重臣、大貴族、将軍、その他の高級官僚および軍人たち。彼らは幅三ファーデン(約六メートル)の赤絨毯を挟んで列を作っていた。 向かって左側が文官の列、帝国宰相グロティウス公爵が最上位を占め、続いて財務尚書(大臣)ホフマンシュタール侯爵、外務尚書ヘーゼルシュタイン伯爵、内務尚書ラインスドルフ伯爵といった面々が立ち並んでいる。 いかがでしょうか? あまりにも固有名詞の数が多くて、すんなりとは理解できなかったと思います。 おそらく作者は、細部までこだわって作っていることをアピールしたくて、 このような冒頭を作ったのでしょうが完全に逆効果です。 人間の脳は、見知らぬ単語や人名をいっぺんに覚えられるようにはできていません。 特に、カタカナ文字は日本人には馴染みが薄いため、読みづらく覚えにくいです。 人名や国名などは、 小出しにして読者に徐々に飲みこんでいってもらえるように配慮しなければいけません。 ●例2 「アストリア帝国、ザクソニア王国両国政府は以下の条約を相互に批准、締結する。一、アストリア帝国政府はファルツ大公ハインリヒ四世の公位継承を正式に承認する。二、ファルツ公国はアストリア帝国に対し二億ギルダーの保障金を支払う。三、アストリア、ザクソニア両国はファルツ公国におけるアストリア帝国の宗主権を再確認する。四、アストリア、ザクソニア両国の軍隊はバイエルラント、ファルツ、テューリンゲン、ヘッセン、ウェストファーレンの各領邦の占領地よりただちに撤退する。なお、撤退期限は条約批准より九十日以内とする。五、アストリア、ザクソニア両国は和平と友好の証として、アストリア帝国皇女エリザベートとザクソニア王国皇太子フリードリヒ大公との婚約を締結する……」 このセリフは、同じく『Libera me〜革命の聖女〜』の冒頭の一文です。 これまた、人名や地名、単価などの固有名詞が多く、なにがなんだかサッパリわかりません。 すべてを理解しようなどという気には到底なれませんし、 理解せずに読み進めると、ストーリーが把握できなくなってきます。 作り込んだ設定を作中で無理矢理全て使おうと思ってはいけません。 表には出ていなくても、世界観を裏から支えてくれるのが設定です。 人間ドラマを楽しむべき小説で、設定が大量に掲載されていては、 読者が離れていく可能性があります。 設定は必要に応じて小出しにしていくのがコツです。 ▲ページの先頭へ |
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世界観に合わない描写をしてはならない
これは、「タブー、これをやってはいけない!」でも触れていますが、 その世界に無い物を描写に使うと、世界観を壊すことに繋がります。 例えば、平安京を舞台とした陰陽師ものの小説で、 キスやデートといった外来語を使ってはいけません。 キスなら接吻、デートなら逢い引きと、その世界に合った言葉に直さないとダメです。 ついうっかり、キスやデートなどといった言葉を使うと、舞台の雰囲気が台なしになります。 また、西洋ファンタジーの世界で、 『10円玉ほどの大きさの穴』『テレビのように遠くの映像を映しだす鏡』 『火炎放射器のように杖から炎が迸った』などという表現を使うのはいずれもタブーです。 10円玉ってなに? テレビってなに!? 火炎放射器って、なにぃぃいい!? と、読者はせっかく西洋ファンタジーの世界を楽しんでいたのに、 現実に戻されて興ざめしてしまいます。 ▲ページの先頭へ |
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資料も読まずに小説を書いてはいけない
例えば、医者や警察、自衛隊を小説の中に登場させるとしましょう。 その際は、多少なりとも医者や警察、自衛隊のことを調べてから出してください。 なにも調べずに、これらの特殊な職業を描こう思ってもまず描けません(汗)。 街で暴れる凶悪モンスターにやられ役として(笑)、自衛隊をぶつけるとします。 この際、自衛隊の装備や組織の仕組みに対しての知識があれば、 それだけリアリティのあるストーリーが書けます。 自衛隊が移動や輸送に使っている車種はなんなのか? 各隊員は、どういった武器を貸与されているか? 階級や命令系統はどうなっているのか? これらのことは、当然、自衛隊について調べなければわかりませんよね。 単純に、バズーカでモンスターを撃った。小銃の乱射を怪物に浴びせた。などという描写より、 84mm無反動砲でモンスターを撃った。89式小銃の乱射を怪物に浴びせた。 の方が、カッコイイしリアリティがあるでしょう? 小さなコトかもしれませんが、 こういう細部にまで気を配らないと完成度の高い小説は作れません(涙)。 資料集めというのは大事です。バカにしてはいけません。 特に、魔法、武術、兵器などの資料はそろえておいて損は無いです。 ライトノベルを書くのであれば、これらの知識は必然的に必要になります。 魔法、武術、武器に関する資料は、当サイトの「創作お役立ち本」と、 第2研究室の「ホントは教えたくない、秘蔵の創作お役立ち本」にて紹介していますので、 こちらを参考にしてください。 また、異世界の世界観を作る際は、歴史や民俗学、宗教学の本を読んでおく必要があります。 ええ?めんどくさ〜〜。などと思っていると、リアリティのある世界観は作れませんよ! 近くに図書館があるのなら、そこで借りるのが一番でしょう。 もっとマニアックな資料やピンポイントに知りたいことがある場合は、 オンライン書店で資料となる本を探して頼んでみるのも手です。 |
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