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投稿、美少女描写テクニック

目次
はじめに
変化する美醜
ブラントームの美女の条件 見る側の心理描写
『GOSICK』からの出典 悪婦の美少女
〜のようだ、と連続して例えない 派手な比喩
エルフの王女 美人三姉妹と母親
あえて本人を描かないで描写する なまめかしい美女描写
風景描写とリンクさせる 比喩を使わない美少女描写



はじめに
 ライトノベルに華を添えるために欠かせない美少女!
 この美少女描写テクニックを一緒に極めようではありませんか!?
 美少女描写技術の向上のためには、より多くの美少女描写事例を知り、研究する必要があります。
 そのため、読者様から美少女描写・表現テクニックを募集し紹介するためのコーナーを作りました。
 美少女描写・表現テクニック教えてくださる方は、こちらをお読みください。
かずなさんからの投稿・変化する美醜
 こんにちはv かずなです。

 美少女の描写ですが、
 わたしは夢野久作先生の『ドグラ・マグラ』を一押ししますv

 ちょっと長いですが、よろしかったら読んでやってください。


 すると……その私の眼の前で、不思議とも何とも形容の出来ない神秘的な変化が、その人形の寝顔に起り初めたのであった。
 新しいタオルで包んだ大きな枕の中に、生(う)ぶ毛(げ)で包まれた赤い耳をホンノリと並べて、長い睫毛を正しく、楽しそうに伏せている少女の寝顔が、眼に見えぬくらい静かに、静かに、悲しみの表情にかわって行くのであった。しかも、その細長い眉や、濃い睫毛や、クローバ型の小さな唇の輪廓(りんかく)のすべては、初めの通りの美しい位置に静止したままであった。ただ、少女らしい無邪気な桃色をしていた頬の色が、何となく淋(さび)しい薔薇(ばら)色に移り変って行くだけであったが、それだけの事でありながら、たった今まで十七八に見えていた、あどけない寝顔が、いつの間にか二十二三の令夫人かと思われる、気品の高い表情に変って来た。そうして、その底から、どことなく透きとおって見えて来る悲しみの色の神々(こうごう)しいこと……。

 私は又も、自分の眼を疑いはじめた。けれども、眼をこすることは愚か、呼吸(いき)も出来ないような気持になって、なおも瞬(またたき)一つせずに、見惚(みと)れていると、やがてその長く切れた二重瞼の間に、すきとおった水玉がにじみ現われはじめた。それが見る見るうちに大きい露の珠(たま)になって、長い睫毛にまつわって、キラキラと光って、あなやと思ううちにハラハラと左右へ流れ落ちた……と思うと、やがて、小さな唇が、微(かす)かにふるえながら動き出して、夢のように淡い言葉が、切れ切れに洩れ出した。
「……お姉さま……お姉さま……すみませんすみません。……あたしは……妾(あたし)は心からお兄様を、お慕い申しておりましたのです。お姉様の大事な大事なお兄様と知りながら……ずっと以前から、お慕い申して……ですから、とうとうこんな事に……ああ……済みません済みません……どうぞ……どうぞ……許して下さいましね……ゆるして……ね……お姉様……どうぞ……ね……」
 それは、そのふるえわななく唇の動き方で、やっと推察が出来たかと思えるほどの、タドタドとした音調であった。けれども、その涙は、あとからあとから新らしく湧き出して、長い睫毛の間を左右の眥(めじり)へ……ほのかに白いコメカミへ……そうして青々とした両鬢(りょうびん)の、すきとおるような生(は)え際(ぎわ)へ消え込んで行くのであった。
 しかし、その涙はやがて止まった。そうして左右の頬に沈んでいた、さびしい薔薇色が、夜が明けて行くように、元のあどけない桃色にさしかわって行くにつれて、その表情は、やはり人形のように動かないまま、健康(すこやか)な、十七八の少女らしい寝顔にまで回復して来た。……僅かな夢の間に五六年も年を取って悲しんだ。そうして又、元の通りに若返って来たのだな……と見ているうちにその唇の隅には、やがて和(なご)やかな微笑さえ浮かみ出たのであった。
 私は又も心の底から、ホ――ッと長い溜め息をさせられた。そうして、まだ自分自身が夢から醒め切れないような気持ちで、おずおずと背後(うしろ)をふり返った。


 わたしはこの文章を見て、胸が震えました。
 美少女の描写が、美しく物語ととけあっていたからです。

 描写は動きではありませんから、物語を停滞させます。
 美少女描写もやりすぎると、物語の流れをとめてしまいます。
 
 しかし、ここでは少女の美しさは夢幻的なシーンと自然にとけあい、
 意味あるものとして描かれています。



 美少女と一口にいっても色んな種類があるし、
 時や場所や場面(女の子なら、服や化粧や髪型)によってその美しさも移り変わるものです。
 だから、物語の中でも絶えず女性たちの美しさは変わってゆくものだ、と思います。
 
 光の加減で瞳の色だって変わりますし、肌や髪の色艶もまばゆい太陽の下で見るのと、
 蛍光灯の下で見るのとでは全然違います。
 部屋のなかで見たら、透きとおるほど美しい肌だって、
 太陽の下で見たら不健康な青白いものなのかもしれない。
 キャバクラではほんのりと赤く染まった頬が、
 見送りに下に出たときに見ると興ざめなリンゴほっぺになってるかもしれない。

 また、美しさというのは精神に起因するものでもあります。
 冒険に出る前の女の子の美しさが、冒険を終えたあとの美しさと同じわけがない。

(ありがちで恐縮ですが、無垢で無邪気な美しさ→自立した、逞しい美しさとか)

 わたしはかわいい女の子が好きで(ああ誤解を呼びそうな表現;;)、よく友だちを観察してます。
 その結果思うのは、いつもかわいい子なんていないんです。
 横顔がはっとするほど完成されていたり、真正面から見た瞳の輝きに目を奪われたり、
 にこっと笑ったときのえくぼがかわいらしかったり、首筋が艶っぽかったり……。
 普段はまったく冴えない子が、その子の好きなことをやるときだけは綺麗に見えたり。
 逆にかわいい子でも悪口言ってる顔とか、苦しんでる顔は全然綺麗じゃない。
(まったく綺麗なところのないかずなが言うのもアレですが)

 なんとなく女性が感情移入できない女の子とは
 「美少女のための美少女」なのではないでしょうか?

 
 ペンキの青一色でぬられた空、という表現をある小説で読んだことがありますが、
 それと同じで「美しさ一色で塗りつぶされた女の子」はかわいそうです。
 その子だって、人間的に汚い感情を抱くときがありますよね。
 で、たいていそういうときはどんな美女でも醜くなるわけで……。
 そんなときの自分のことは、自分だって嫌いなんです。

 女はいつも美しいわけではない。


 醜い部分・汚い部分いろんなものを背負って、それでも美しくあろうとするのが美しい女性なのだと思う。
 自分のダメな部分を認めて、克己してゆく中で磨かれてゆく美しさもあるんです。


 美しさの描写も、物語にうまく絡めることができれば、
 嘘っぽくなくなり、女性の反感も買わないような気がしますよ^^

 長くなってすみませんでした;;
 
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吊られた男さんからの投稿・ブラントームの美女の条件
 
 初めまして。
 私が読んだ本の中で面白い事が書いてあったので、参考にはと思って書いております。
 「艶婦伝」などを書いた十八世紀のフランス作家、
 ブラントームは美女の条件として以下の三十の項目を挙げています。

 01>白い。肌、手、歯。
 02>黒い。瞳、眉毛、まつ毛。
 03>赤い。唇、頬、爪。
 04>長い。身長、髪、肢体(腕と足)。
 05>短い。歯、足首から先、耳。
 06>広い。胸、眉毛と眉毛の間、額。
 07>狭い。口、腰、足首。
 08>太い。尻、太もも、ふくらはぎ。
 09>細い。指、首、鼻。
 10>小さい。乳首、鼻、頭。


 全部当てはめるのは無理があります、
 完璧な人形か彫刻でもない限り三十項目全てに当てはまる女性は存在しません。
 でもこの中の二十項目ほど当てはめる事ができればかなりの美人と言えますね。
 
 もちろん十八世紀基準なので現代には通用しないかも知れませんが、
 そこは応用を利かせたらいいでしょう。
 どうしても美人(または美少女)が何なのか想像できない時、またはどう言ったら褒めれるのか、
 どうしたら表現することができるか?などに悩んだ場合にでも使ってください。
 

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イヴさんからの投稿・見る側の心理描写
 
『灼眼のシャナ』引用

 艶やかな黒髪の中に浮かぶ、小さな、一転の曇りもない白磁のような肢体。
 未成熟ゆえにあからさまな膨らみのない、ただ流麗な曲線によって描かれる、清冽の姿。
 悠二が、自分の存在が過去最大の危機にあることも忘れて見入るほどの。


 私はヒロインを可愛く見せるにはそれを見ている方の心理描写が大切だと思います。
 ついでに、このシーンは主人公がヒロインの裸体を見てしまうというベタな場面なんですけど
(^-^:
 

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milveさんからの投稿・GOSICK
 
 こんにちは。
 いつも皆様にお世話になっております。
 今日は、富士見ミステリー文庫から『GOSICK』の美少女、
 ヴィクトリカの描写を投稿させていただきたいと思います。

『GOSICK4 愚者を代弁せよ

(省略)精巧なビスクドールと見間違えた、その小さな、美しい、この世のものとは思えない少女を凝視した。
 それは――
 クラスでいちばんかわいいとか、二番目にかわいいとか、そういう次元のものではなかった。
 肌は白磁のように白くすべすべで、頬は夢の様な薔薇色。素晴らしいドレスに包まれた身体はとても小さく、頭も、手も、すべてが精巧に出来た神さまのための人形のようだった。
 ドレスの豪奢さとは裏腹に、足元に届くほど長い金色の鮮やかな髪は、編まれてもまとめられてもいなく、洗ったままのようにただ背中にたらされていた。そこだけ奇妙な野性味が感じられ、その少女の不思議な、小さく美しく物静かなのにどこか凶暴な、独特の空気を象徴していた。』

 ……いかがでしょうか。
 参考になると嬉しいです。

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葉月 あやさんからの投稿・悪婦の美少女
 
 はじめまして。推薦させていただきますのは、
 藤原眞莉作『姫神さまに願いを〜血誓の毒〜』です。
 藤原眞莉さんの作品は、確かな時代考証、高い文章力、描写力、ユーモアを兼ね備えた素晴しいものが多いです。
 ライトノベルを馬鹿にする人も、この人の作品を読めば黙秘権を執行せざるを得ないハズ。
 力のある作家さんの、推薦すべき箇所はいくらでも思いつくのですが、今回はこの箇所を。
  
 青年有髪僧のカイが、道中で絡まれている立君(娼婦)を助けた後のシーン。
 殊勝だった少女の態度が一変して……。

 以下抜粋。
「大丈夫だっ――――」
 だったか、と。女へ振り返ってそう訊ねかけたカイは目を剥き、言葉を失う。
(中略)
 光の加減で七色に輝く被衣。鮮やかな萌葱の地に白や薄紅の花を散らした文様の湯帷子。背の中ほどで結った黒髪。結われずに垂らした不揃いの髪に縁取られた、細い輪郭。すっきりとした顎。背筋がピンと伸びて姿勢がいいせいだろう、さほどの膨らみでもない胸元も魅力的な曲線と映える。
 見れば見るほど、整った容姿をしている。
(略)
 爪紅の塗られた立君の手には抜き身の長刀があった。手際は、鮮やか。形の良い爪の輝きもまた鮮やか。 
(略)
 立君の少女の態度は、高慢かつ威圧的。けれどその雰囲気がいかにも似合っている。
(略)
 この少女には生身の鋭さがある。高みから見下すのではなく、同じ高さにあるものを叩き壊して足元に転がす。
 傲然たる毒性、とでも表せばいいのか。


――美少女は美少女でも、悪婦ですね。傲然たる毒性、のシメにぞっとします。

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タピオカさんからの投稿・〜のようだ、と連続して例えない。
 
 僕のイイ! と思ったテクニックは

・〜のようだ、と連続して例えない。
 
【彼女の目は例えるならば山の涌き水のようで水晶のようでもある。】

 と、書いたとしましょう。 ここで思いませんか?
 「涌き水のような? 水晶?」と、例えすぎてなにがナにやら。
 読んでいて「はぁ、そうですか…」となってしまう方も少なくないはずです。
 だからココの文を少し直すならば僕ならこうします。

 【彼女の目は空のように澄みきっていた。】
 
 こっちのほうが分かりやすくてイイと思います。

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六花の翼さんからの投稿・派手な比喩
 
コバルト文庫 野梨原花南さん著 『ちょー美女と野獣』 P.14

 その整った顔。
 朝露の様でもあり、開いたばかりの花の様でもあり、あるいはやはり磨いたダイヤの様でもあった。
 金の細い細い、そして細やかにきつくまいた巻き毛は腰までに達する長さで、傷んだ所もなければ乱れた所も無い。完璧に美しい顔だちに、長い金のまつげ、弓形に整った濃い金色の眉、ばら色の頬、珊瑚色の唇、それにエメラルドの瞳。


コバルト文庫 野梨原花南さん著 『ちょー新世界より』 P.88〜89

 光の粒子をまといつかせたような足がそこにあった。白い肌の、薄い桃色の、小さな貝殻のような爪が飾る細い足。薄い白い長い着物を着ていた。信じられないほど美しい造形だ。
 吸い取られるように視線を離せない。
そのまま視線を上げていくと、舳先に腰をかけ、片足を上げて、その膝に両肘をついて、宝珠を見下ろしている女性の姿が目に入った。
 ぞっと血の気が凍る。
 全身を形づくる柔らかな曲線、長い四肢には染み一つなく、きつくまいている長い金髪は光を孕んで背中や肩に滝のように落ちかかり、弓形の睫は濃い金色で、瞳に影を落とす長い扇の形の睫も金色だ。その瞳は、どこまでも深い、深山の淵のような緑で、鼻梁はすっきりと通り、それ以上高すぎても低くてもいけないというような形をしている。唇はふっくりとした紅の花色で、化粧をしているのかと見まごうような色だ。
 だって変だ。
 こんなに完璧に美しい人間がいるわけがない。
 これはたぶん魔獣の一種だ。
 何か不幸が起こる。自分はすぐさま死ぬのかも知れない。
 全身の毛穴から、嫌な汗がどっと出る。
 けれどその人はいきなりふわりと微笑んだ。
 まるで、花か、お菓子を見るような瞳で宝珠を見た。
「とっても素敵なお耳だわね。はじめまして。あたしダイヤモンド。あのクソ馬鹿オニキスの母親よ。仲良くしてあげてね。無理ならいいけど全然別にィ」



 後者は正確には美少女というか美女(28くらい。ちなみに前者は15。)なんですが……
 まあ、永遠の美少女的な人なので。素敵で美人で獣フェチな人。
 それなりに有名ですので、知ってる方も居るかもしれません。
 比喩が派手で素敵です。
 くどい! と思われる方もいられるかもしれませんが、私の趣味で。
 派手な描写好きなんです(笑)。

 それでは。

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ぴろごんさんからの投稿・エルフの王女
 
 大変面白く拝見させていただいてます。
 特に美少女の書き方が興味深く、女性の私から見て「そうそう!」と思えることばかりでした。
 描写・表現テクニックの投稿をしてもよろしいということなので早速。。。


『小説ドラゴンクエストW』 一巻序章より(エニックス文庫)/久美沙織

 エルフ一族は、みな生まれつき整った姿かたちをしているものだ。王族とあれば、なかでもことさら典雅であって不思議はなかった。だが、この幼い姫の美と清純と繊細は、悪魔の胸をも甘く痛ませるほどに完璧、美貌で知られる妖魔をも妬ませるほどに完全であったのだ。
 その頬は、白磁の器に淡紅のはなびらを一枚浮かべたかのよう。その瞳は、咲き初めの忘れな草をとじこめた水晶。その唇は熟れきらぬ苺実の瑞々しさ。顎と鼻筋はあくまで華奢であり、手足は、つくりもののようにすべらかだった。あふれだした蜜さながらの黄金巻毛の隙間からのぞいた耳は大きくとがって、種族の特徴をあらわしていた。長い幽閉生活のためにか、少々草臥れた灰色のドレスの裾からは、さらにエルフのエルフたる所以である細い尾の先端の黄金の飾り毛がのぞいていたが、それすらも、解けかけたガーター・リボンのように心にくいアクセントとなっていた。
 姫は、幼女らしくあどけなかったが、あまりにも瑕のないその肢体、欠点のない目鼻だちは、その完璧さのために、逆に、いかにも危うく、壊れやすく、妖魔の心を……その保護本能と破壊衝動の双方を……激しく揺さぶった。なにより、その無邪気な微笑には、高貴な魂の匂いがした。どんな美貌の女でもその生まれが卑しければ学んで手に入れることのできぬ、生まれつきの品性こそ、妖魔がもっとも好むもののひとつである。


 有名すぎるゲームのノベライズですが、「エルフの王女」というファンタジーの王道美少女を、
 これほどまでに繊細に表現できるのは久美沙織さんしか存じません。
 実際に文庫で読むと、あえてひらがなで表現しているところや、古風な言い回しが多く、
 ゲームを超えた世界観を表現されていると感じます。
 大人になって何度読み返しても色あせない作品のひとつだと思います。

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雪英さんからの投稿・美人三姉妹と母親
 
「美少女の書き方」を読んでいるとき、美少女と言えばこれだ!!
と思う作品が浮かんだので今回はそれを投稿させていただきます。
以下は講談社出版・京極夏彦の「絡新婦の理」から引用致しました。

----
次女・茜

・類稀なる美形であることは確かであろう。ただ妹達とは顕かに違う。葵のような人工的な美しさはない。碧のような神秘的な雰囲気でもない。況や、母親のような神神しさも彼女にはなかった。まだ幼さを残した、柔和な、温順そうな顔つきである。

<p327>
・半月型の大きな眼。桜色の小振りな唇。和やかな顔だ。
 艶やかな黒髪を結い上げていて、形の良い富士額が聡明さを象徴している。
 衣服や周囲の花を映して、織作茜は桜色だった。
 婦人でも娘でもない。正に女性である。”

<p1353~>
三女・葵

”――おやおや。
 蝋人形のようである。否、陶器のような質感の、作り物のような女だった。綺麗と言うなら物凄く綺麗なのだろうが、吃驚することはない。綺麗で当たり前という感じである。絵に描いた女や拵えものの人形が幾ら整っていても、どれだけ綺麗でも、そう云う風に造るのだからこれは当たり前である。この場合、寧ろそれが生きているほうが不思議なのだ。
 決して男性的ではないが、中世的でもない。男でも女でもなく――それはただ綺麗なモノである。
 短髪と洋装が、その印象を余計に強めている。”

<p268~>
 四女・碧

”扉の向こうは不思議な明るさだった。
 ふわふわと光があるような、闇があるような。
 声がした。
「貴女達、何をしているのです?」
 細くて綺麗な声だ。美由紀はそう思った。
 手職が差し入れられた。蛍火のように心許ないふわふわとした燈りが来訪者の顔を照らし出した。
 そこには天使が立っていた。
 真っ直ぐに伸びた緑の黒髪。陶器の如き白い肌。
 大きな瞳にはふわふわとした灯りが映っている。
 それを縁取る、濡れたような黒の、長い長い睫。
 同姓も見蕩れる程の美少女。
 この学内で知らぬものはない。
 この学院の創立者の娘――。
 ――織姫。いや
 織作碧――だった。”

<p220~>
 母・真佐子

 威厳――存在感――誇り――そうした単語が脳裏を行き来する。
 どれも正確に云い得てはいない。
 ――強い、かな。
 近寄り難い――かもしれなかった。二吉が岡惚れしていたのも頷ける。実際、絶世の云云と評するに相応しい容貌だろう。
 伊佐間は美人だとか美女だとか云う月並み且つ善く解らない表現は嫌いなのだが彼女――織作真佐子――に関して云えば取り敢えず絶世と云う部分だけは当たっている。美醜は別にするとしても、この雰囲気は猟師町には浮いている。
 絶世の未亡人は髪一筋も乱さない。
 玄き瞳は、屹度前を見据えている。
 まるで大隊を率いる将校のようだ。”


 京極先生、メジャーなので知っている方も多いと思います^^
 ライトノベルではなくミステリ枠からの参加ですが、
 このシリーズは私の「美しさ・妖しさ」を現す際のお手本となっているので、ありかな? 
 と、送らせていただきました。
 四人は美人三姉妹とその母という設定ですが、こ
 の条件でここまで美しさの書きわけをするなんて凄いと思いまして……。
 描写を比べて見るのもなんだかうっとりしてしまって楽しいです。

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赤井風仙さんからの投稿・あえて本人を描かないで描写する

 彼女の年齢は僕と同じくらい、15歳かそれとも16歳。きっと15歳だ。僕はそう判断する。15歳と16歳の間には大きな違いがある。体つきは小柄で華奢だけど、姿勢はよく、弱々しい印象はまるでない。髪は真っ直ぐで首あたりまでの長さ、前髪が額の上に落ちている。裾の広がった淡いブルーのワンピースを着ている。丈はは長くもないし短くもない。靴も靴下もはいていない。ワンピースのカフスのボタンはきちんとはめられている。襟ぐりは丸く大きく、かたちのいい首筋を目立たせている。

(中略)

 その少女が〈幽霊〉である事が僕にはわかる。まずだいいちに彼女は美しすぎる。顔立ちそのものが美しいというだけじゃない。彼女全体のありかたが、現実のものであるにはあまりにも整いすぎているのだ。まるで誰かの夢の中からそのまま抜け出てきた人のようにも見える。その純粋な美しさは僕の中に、悲しみに似た感情を引き起こす。それはとても自然な感情だ。でも自然でありながら、普通の場所には存在しないはずの感情だ。
 僕は布団にくるまって息を殺している。その一方で、彼女は机に頬杖をついたまま、その姿勢をほとんど崩さない。ときどき顎の位置が手の中で小さく動き、それにあわせて頭の角度がほんのわずか変化する。部屋の中にある動きといえば、ただそれだけだ。窓のすぐそばの大きなハナミズキが、月の光を浴びて静かに光っているのが見える。風はやんでいる。どんな音も僕の耳には届かない。自分が知らないうちに死んでしまったような感覚がある。僕は死んで、少女と一緒に深い火口湖のそこに沈んでいるのだ。

 村上春樹著「海辺のカフカ」(新潮文庫)より


 この「超」がつくほどの有名作品をご存知の方もとんでもないほど多いかもしれませんが、
 未出でしたので一応投稿させて頂きました(汗)
 この描写においては今まで載せられている類のテクニックも多く使われていますが、

 自分がここで一番重要視したいのは、
 この中では少女自身の描写がほとんどなされていない事です。

 されているのはせいぜい、姿勢、髪、首筋であり、
 少女の顔立ちなどの重要な部分にはほとんど触れず、ただ服装が描かれているだけです。
 かといって比喩は全く無く、風景描写も僅かしかありません
 (大きなファクターを占めている事は否定できませんが)。

 それではここで少女の美しさを一番描いているのは何かと問えばそれはすなわち、
 彼女を観察する主人公の内面の情動です。


 それによって読者は主人公に共感するような感覚を持ち、
 (まあこのカフカ少年はかなりの変人なので、共感するというよりは彼の心を解釈する、
 と言った方がより正しいかもしれませんが…)自身の中で想像(妄想?)を膨らませるのです。
 確かに多くの文学作品ではこのように服装ばかりを描写して、
 本人の描写は最小限にとどめてしまう物がほとんどですが、
 それを抜きにしてもラノベの類でない小説に萌えさせられた(笑)のは珍しい体験でしたので、
 自分も見習いたいと感じました。
 あ、ちなみに別段村上春樹氏は常に本人を描かないわけではありませんよ?
 事実この少女に関しても後で描写がなされていますし。
 単に自分はこのシーンがお気に入りだというだけの話ですので、
 「このうそつき野郎!」とか言わないでください。

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中澤 宏明さんからの投稿・なまめかしい美女描写

 女は熟していた。
 面長だが柔らかな輪郭を備えた顔に配されているのは、高い額とほっそりした吊り気味の眉、常に涼やかにきらめくブラウンの瞳、高くすっと通った鼻、小さいが、ふっくらとした唇である。
 プロポーションも一六五センチの身長に見合った見事なものだった。
 肌は搾ればミルクがしたたり落ちそうに思えるほどの乳白色で、肩甲骨に達するあたりまでのばしたストレートロングの黒髪ときれいなコントラストをなしている。
 一言でいえば、近づくのに気後れを覚えるような女性である。真夏でも22度以上にならない高級別荘地にはぴったりの存在だ。

 富士見ファンタジア文庫
 著 豪屋大介
 デビル17(2) 復讐のサマータイム ページ8 2行目から引用
 正確にいえば美少女ではないが、描写などがうまいと思ったので、勘弁を・・・

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亜希さんからの投稿・風景描写とリンクさせる

 夕方、暮れてゆく湾を見通す、浜辺の高い堤防を、つぐみと男の子が歩いてゆく。夕空には鳥がひくく舞い飛び、波音がきらめきながら静かに寄せてくる。走りまわる犬しかいなくなった浜は、砂漠のように広く白く横たわり、いくつものボートが風にさらされている。遠くに島影がかすみ、雲がうっすらと赤く輝いて海の彼方へと沈んでゆく。
 つぐみはゆっくり、ゆっくり歩く。
 男が心配して手を差し出す。つぐみはうつむいたまま細い手で彼の手を取る。そして、顔を上げて微笑む。ほほが夕陽に輝き、それは、まるで一刻ずつ姿を変えてゆくまぶしい夕日のようにはかない笑顔だった。白い歯も、細い首も、じっと彼を見つめる大きな瞳も、みんな砂や風や波音にまぎれて今にもさらりと消え入りそうだった。そして、それは本当のことで、つぐみはいつそうなってもおかしくないのだ。

吉本ばなな著 『TUGUMI』[中公文庫] より抜粋)

 このつぐみという女の子、病弱で余命の短い美少女なのですが、
 このシーンでは実は猫を被っているだけで本当は男言葉連発、
 我侭放題の強烈な女の子なんです。
 今更わたしがここの場を借りてご紹介するまでもないほど有名な本ですが、
 とても好きなのでつい投稿してしまいました。

 この美少女描写の素晴らしい所は、風景描写とつぐみの美しさをリンクさせて、
 絵画風の美しさに仕立てている所だと思います。


 それに、これは美少女描写とは関係がないかもしれませんが、
 漢字の開き方も、嫌味なく平仮名のあたたかさが伝わってくるので見習いたいです。

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仁ノ河一城さんからの投稿・比喩を使わない美少女描写

 初めまして、仁ノ河といいます。
 今回は、僕の知っている中で一番変わっていた美少女表現を投稿させて頂きます。

 出典は榊涼介著「ガンパレード・マーチ episode ONE」(電撃文庫)です。

 ご存知かもしれませんが、「式神の城」と同じく、
 株式会社アルファシステム開発のゲームのノベライズ版です。
 以下引用

 『厚志が振り向くと、髪をポニーテイルにした鋭い目つきの少女がまっすぐに本田を見ていた。一応、制服を着ているから生徒なのだろう。少女は口元をきゅっと引き締め、不機嫌そうな顔をしている。が、見続けていると、その顔がごく自然で飾らない表情に見えてくる。
 嫌な感じはしなかった。むしろその反対だ。不思議な魅力をたたえた顔だ。厚志の視線を感じたか、少女がこちらを向いた。厚志はあわてて視線をそらした。

 推薦の理由は、他作品に多く見られる
 「美しいものに喩える」という手法を用いていない点です。

 肯定的な表現と同じくらい否定的な表現を使っているのに、
 少女の凛とした雰囲気がきちんと伝えられるなんて、
 自分にはなかなか真似の出来ないことだなと思いました。

「これうまい!」「萌えだ!」と思われた美少女描写・表現テクニックを教えてください。

 投稿してくださる方は、こちらのメールフォームよりお願いします。 m(_"_)m,

 その際は、どこの作品から引用したか明記するようにお願いします。
(注:サイトに掲載するにあたって、一部文章を分かりやすいように手直しする場合がございます)
ページの先頭へ  メールフォーム(管理人への連絡)
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