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キャラクターではなく「人」を描こう

目次
登場人物たちのプロフィールを作り設定に厚みを加える
キャラクターには必ず欠点をもたせるべし!
心の葛藤を描き出す
キャラクターはギャップで魅せる
魅力的な人物の条件とは?

 
登場人物たちのプロフィールを作り設定に厚みを加える

 登場人物たちを単なる物語を構成するためのコマではなく、
 血の通った人間として描くためにはどうすれば良いでしょうか?
 まず最初になすべき事は、登場人物のプロフィールを作ることです。
 有名な映画監督の澤井信一郎は、こう言っています。

「一本の映画のシナリオをつくるために、
 主人公に対してはノート一冊分の履歴書を書かなくてはいけない」


 つまり、そういうバックグランド作らなければ、物語の中で主人公は自由に、
 現実に存在するような人間として、動いていかないということなのです。


 以下に上げた項目をすべて埋めてみてください。
 
1 名前 性別 年齢
2 国籍 住所
3 人種 種族
4 容貌 容姿
5 社会的地位 職業 信仰する宗教
6 性格 癖 ポリシー
7 美点、弱点
8 知性、知識 健康 
9 趣味 特技 好物 嫌いなモノ
10 武器 武術 魔法 その他の能力 
11 口調 言語
12 履歴 過去のトラウマ
13 両親、親戚、兄弟姉妹、配偶者、恋人、子供

 
 十分にキャラを練ってから物語を作らないと、
 後になって登場人物の口調や行動に矛盾が生じてしまいます。


 かくいう私も、思いついたキャラを、
 設定を十分に練らないまま小説に登場させて失敗した経験があります(汗)。 
 ただし、ただ設定を細かく作っただけではだめです。それをバックグランドにして、

 登場人物を実際に生きている人間のように見せるためには、
 仕草や行動、感情の描写が欠かせません。


 人間の心は外界からの刺激を受けて、常に変化しています。
 その微妙な心の変化を表現してみてください。
 その登場人物になったつもりで考え、
 彼または彼女がその場面でどういう反応を見せるのか、シミュレートしてみるのです。
 初めのうちは難しいかも知れませんが、慣れてくるとできるようになってきます。

 ただ、異性の心を想像するのは大変なので、
 あなたが男性なら女性作家が描いた恋愛小説や少女漫画を、
 女性ならハードボイルド小説や少年漫画を読んで勉強することをオススメします。


 男性と女性の価値観や考え方は大きく異なるので、
 これを理解しないまま描くとリアリティーのない人物像ができあがってしまいます。

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キャラクターには必ず欠点をもたせるべし!   
  
 登場人物を生きた存在にするためには必殺技とも言うべきコツがあります。

 それは完璧な人間にはせず、必ず欠点を持たせるようにすることです。

 完全無欠天下無敵人格完成のスーパーマンのようなものが小説にでてきても、
 あまりおもしくありません。

 スーパーマンでありながら、普通の人間と同様に弱みを持ち、
 等身大の感情で悩んだりするから、人はそれに同調し、感情移入できるのです。
 同調した上で、超人的な活躍をしたときに、それは自分のことのようにうれしいのです。それに

 欠点はチャームポイントにもなります。 

 例えば、頭脳明晰、容姿端麗の美少女が、実は料理が壊滅的にヘタクソだったりするのは、
 王道とも言うべきキャラクターのパターンです。
 何でもできる学園のアイドルが、唯一料理が苦手なことを気にしていたりすると、
 それが妙にかわいらしく見えてしまって、世の男たちは『萌え〜』と叫ぶのです(笑)。
 または、向かうところ敵なしの熱血格闘野郎が、実はシャイな一面を持った少年で、
 女の子に声もかけられなかったりするとおもしろいでしょう?

 自分と同じようなことで悩んでいるキャラが、
 巨大な困難に立ち向かってこれを粉砕していく……
 このようなシュチュエーションを作ると、
 読者は登場人物に感情移入しやすくなります。
 

 『スラムダンク』や『バガボンド』を描いた人気漫画家の井上雄彦さんも、NHKのインタビューの中で

 「キャラクターを作るときは、完全な人間にはせずに必ず欠点を持たせるようにしています」

 と、答えたことがあります。
 人気漫画家も実践しているノウハウなのです。
 登場人物には必ず欠点を持たせるようにしましょう!

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心の葛藤を描き出す

 生きた質感を持った登場人物を描くには、性格描写が欠かせません。

 でも、小説の中にで出てくる人物に機械的に感情を植え付け、
 性格づけをするだけでは、描写はどうしても浅薄なものになってしまいます。


 単純に
 「少女は近寄りがたい雰囲気という無敵の鎧を纏っていた」
 「彼は人間を殺すことに、虫を殺すほどの抵抗も感じない冷血漢だった」
 なんて書いても、性格描写としては不十分です。
 目の肥えた人には、よくあるパターンの無機質な集合体としか映らないでしょう。
 生きた人間というより作者の操り人形、魂のないロボットであることが明け透けにわかってしまうのです。
 ではどうすれば良いでしょうか?

 例えば、王国に忠誠を捧げた聖騎士、という人物がいたとします。
 彼が大活躍する話を作ってみるとしましょう。
 彼は、国を守るために戦争に参加した。連勝を重ね、王からお褒めの言葉をもらう。
 だがその夜に、将来を誓い合った恋人の魔術師が敵に内通していることを知ってしまった。
 このとき、彼はどう行動するのか?
 そこで、彼の「愛」と「忠誠」が激しく葛藤することになります。
 恋人を断罪すべきか、説得して内通をやめさせるか、それとも黙って何もしないか、
 はては主君を裏切って、彼女と添い遂げるために敵に寝返るか……
 彼の「愛」と「忠誠」が大変な試練を受けることによって、その質が問われていくことになるのです。
 想像しただけでも、ああ、これからどうなるんだろう? とワクワクしてきませんか?
 これこそ、キャラの性格を深く描写する最高の技です。

 心の葛藤を描き出すと、登場人物は生きた質感を持った人間になります。 

 2つの異なる感情が、1人の人間の内面で激突し、苛烈な火花を散らす……
 こういうところから、手に汗握るドラマは生まれてくるのです。

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キャラクターはギャップで魅せる 

 キャラクターの魅力、おもしろさを生み出すもう一つのコツ。
 それは、1人の人物の中に『同じ』と『違う』を混在させることです。

 おもしろさとは、他者と『同じ』部分と、『違う』部分の2極のギャップによって生み出されます。。

 例えば、ヨボヨボのおじいさんがいたとします。
 案山子のようにやせ衰えた肢体に、アルツハイマーが進行していそうなハゲ頭……
 このおじいさんを一目見たとき、誰もが彼を非力な、社会の庇護を必要とする人間とみなすでしょう。
 そうとしか見えませんからね。

 でも、実はこのおじいさんが、
 熊と相撲取って圧勝できるような金太郎的怪力人間だったらどうでしょうか?
「へへへ、じいさん。命が惜しかったら、有り金ぜんぶおいていきな!」
 と、外見に騙されて山賊行為に出るチンピラA、Bを、
 軽くいなして肉体的指導を加えてしまうような人だったら?
 うわ、おもしろいおじいさんだな、と多くの人が興味を引かれることでしょう。
 これぞ、キャラクター作りの最終奥義。ギャップの効果です。

 私たちの頭の中には、ご老人=弱者という暗黙の方程式が成り立っています。
 この常識を、覆してやることによって、読者に「この人はふつうじゃないぞ!」と思うわせるわけです。 

 例を上げみれば。

=========================================

 可憐な美少女が、身丈を超す大剣を軽々振り回して、凶暴な魔物を殺す。

 浮浪者みたいなボロボロの格好した男が、実は世界を牛耳る大企業のトップ。

 どこにでもいそうな気の良さそうな主婦が、
 実は『ライフィング・パンサー』とあだ名される伝説の傭兵。

 ヤクザも避けて通りそうな凶悪な人相をした少年が、実は天使のような心を持った純朴な学生。

 どこからどう見ても超絶可憐美少女が、実は男。

 小学生なのに、博士号を持っている。

 外見は十代なのに、実は数千年も生きている魔人。

 歩くと地響きがするような肥満児が、実は最強の忍者。  

 いかにも優しそうな顔した敏腕青年医師が、実は人を殺すことに快楽を覚える殺人鬼。

 凶悪を絵に描いたようなドラゴンが、実は争いごとが嫌いな平和主義者。 
 

=========================================

 ここで、おそらく気付かれた方もいらっしゃるでしょうが、ギャップとは、主に外見と中身の相違です。 

 人を見かけで判断してはいけないと、世間では良く言われます。
 なぜ、こんな格言がはやるかというと、私たちは人を外見で判断しているからです。
 モヤシみたいに痩せている人を見れば、ひ弱な人だと思うでしょう。
 89式小銃を持って自衛隊の駐屯地の前に立っていたら、自衛官の人だなと思うでしょう。
 (防衛省に喧嘩を売ろうというテロリストかもしれませんが……)

 私たちは相手の見かけで、その人の人格や知能、職業、
 運動能力の有無を判断してしまっているわけです。
 見かけの呪縛とは強力なもので、
 外見で判断してはいけないなどという理性のささやきなど軽く吹っ飛ばしてしまいます。
 そして見かけとはおおよそ、その人間のパーソナリティーを現しているものです。

 皺だらけのおじいさんが、怪力だったり、
 オリンピック選手並みの脚力を持っていたり、中国拳法の達人だったり、
 正確無比な超記憶力を有していたりすることなど、現実にはありえません。
 ここにギャップを生み出す下地があります。つまり、

 外見と中身をアンバランスなものにしてしまえばいいわけです。

 ライトノベルで良く見かけるタイプのキャラクターとして、
 美少女なのに男顔負けの戦闘能力を持っている娘というのがいますよね。
 これも、本来か弱い存在であるはずなのに強いというギャップが魅力の源泉となっています。
 ただし、この手法を使うキャラは作中で1人、多くても2人にとどめた方が無難です。

 ギャップのあるキャラばかりにすると、リアリティーが無くなってしまいます。


 だって、現実には起こりえないアンバランスな設定だからこそ、ギャップとなる訳ですからね。

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魅力的な人物の条件とは?

 あなたの描く小説の主人公は、当然、魅力的な人物にしたいですよね。
 さて、魅力的な人物と聞いて、あなたはどんな人物像を思い浮かべるでしょうか?
 信長や秀吉といった天下人や、宮本武蔵のような剣豪。
 劉備元徳といった英雄、リンカーン大統領みたいな指導者、
 マザーテレサのような聖女――はては、漫画やゲームの主人公を連想するかもしれません。
 実は、それらの人物に共通する特徴があります。
 そして、この特徴を持っていることが、魅力的な人物の条件なのです。
 その特徴とは……!

 
熱い魂を持っていることです。
 情熱を持った熱い人というのは、それだけでカリスマ性を発揮します。 

 夢や理想に向かって突き進んでいる人間に触れると、
 人はそれに感化されて気分が高揚するのです。
 そして、その人を応援したくなります。これが、魅力的な人物の秘密です。


 ええ? そんなことってあるの!?
 と、お疑いな方、ちょっと冷静に考えてみてください。
 あなたは、暗くて、陰気で、後ろ向きで
 「どうせ俺(私)なんか……」「努力したって無駄さ……」「夢なんて見たって、意味ないさ」
 などと、うそぶいているネガティブ人間に魅力を感じますか?
 こういう人間に接すると、逆に精気を吸い取られるように、やるきを失ってしまうでしょう。
 また、『ストーリーの作り方のヒント』でも紹介しましたが、

 おもしろい話を作るために『努力』『友情』『勝利』の法則というのがあります。

 少年ジャンプは、『努力』『友情』『勝利』のプロセスがやりやすいように、
 こういう熱い魂を持った者を主人公に据えてきたました。
 ドラゴンボールの孫悟空も、スラムダンクの桜木花道も、
 るろうに剣心の緋村剣心も、み〜〜〜〜な熱い魂を持った熱血漢です(ネタが古くてすみません)。
 あなたが好きな小説や、漫画、ゲームの主人公は、
 仲間のピンチに我が身を捨てて駆けつけるような熱血野郎ではありませんか?
 自分の恋人を人質にとられたら、
 罠とわかっている敵地にも平然と乗り込んでいく大馬鹿野郎ではありませんか?
 とても実現できないような夢や目標を掲げ、
 それに向かって日夜努力をおしまないような、青春野郎ではありませんか?

 熱血や努力というのは、ダサイこととして冷笑される傾向がありますが、
 人間はみんな本質的にこういう熱い情熱を持った人間に惹かれるのです。

 クールなキャラを主人公にしても構いませんが、これはかなり難しいです。
 クールさの中に、熱さが見え隠れしないようでは、魅力的な人物にはならないからです。
 主人公を魅力的な人物にしたい!
 と思うのであれば、彼(彼女)に熱い魂を与えてあげましょう。


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