第1研究室 ライトノベルの作り方 | トップへ戻る |

ストーリーの作り方のヒント

目次
はじめに
『努力』『友情』『勝利』の法則
物語は竜頭蛇尾を心がけるべし
恋愛要素を物語に絡める
強烈な動機。強烈な抑圧。そして、最後に目的が達成される
登場人物に複数の動機を与える
キャラクター同士の対立を描く
上級テクニック。物語の流れを、よりダイナミックにする方法


はじめに
 おもしろいストーリーを作るためには、どうしたら良いのでしょうか?
 それは、プロ、アマ問わず、小説書きにとっては永遠のテーマです。
 私も、こうすれば絶対に大ヒット間違いなしのおもしろいストーリーになる!
 という秘訣があったら聞きたいくらいです(笑)。
 でも、ストーリーをおもしろくするためのパターンや、
 ヒントというモノは存在しますので、それを紹介します。
『努力』『友情』『勝利』の法則

 大手漫画雑誌『少年ジャンプ』が創刊してしばらく経ったとき、
 ジャンプの編集部は読者に「好きな言葉は何か」と尋ねるアンケートを実施したことがありました。
 その結果、

 『努力』『友情』『勝利』

 という3つのキーワードがぶっちぎりの人気票を得、
 以来ジャンプのマンガは必ずこの3つの要素を含むように作られているそうです。
 これは、戦後マンガ史の伝説ともなっている逸話です。
 『努力』『友情』『勝利』……なんとも男心をくすぐる言葉ではありませんか。

 実際にこの3つが相乗効果を現したとき、どれほどの力を発揮するかは
 『ドラゴンボール』や『スラムダンク』などの大ヒットから容易に想像がつくでしょう。

 
え? ドラゴンボールとスラムダンクを知らない?
 そんなことをおっしゃる方は、いますぐ漫画喫茶にでも行って読んでください。
 時が経つのを忘れられます。
 とりあえず、ドラえもんと並ぶ超有名漫画『ドラゴンボール』は、
 おそらくあなたも知っていると思うので(もし、知らなかったらごめんない)、
 この作品を使って『努力』『友情』『勝利』の法則をより詳しく説明します。
 

 ドラゴンボールは、主人公の孫悟空が次々に現れる敵と戦いながら、
 何でも願いを叶えてくれるという『ドラゴンボール』を集めるという話です。
 途中から、だいぶ様変わりしてバトル一辺倒になってしまいましたが(笑)。
 悟空はピッコロ大魔王などの強敵が現れるたびに、必ず修行して強くなり、コレを打ち破ります。
 修行にはかなり重点がおかれていて、どれだけ強くなれるのか、読んでいる方は毎回ハラハラします。

 ここに、努力と勝利の法則があります。

 次に、倒したピッコロはサイヤ人が地球侵略にやってくると、
 利害の一致から悟空たちの仲間になって共闘することになります。

 ここに、友情の法則があります

 かつて死闘を繰り広げた敵が、仲間になるというシチュエーションはかなり燃えるモノです。
 さらに、悟空たちは、サイヤ人を倒した後、死んだ仲間を生き返らせるために、
 ナメック星のドラゴンボールを探しにいくハメになります。
 そこで宇宙の支配者フリーザと戦うことになります。
 フリーザはメチャメチャ強くて、みんな死ぬ気で努力して戦闘力を上げます。
 このとき、かつての敵だったサイヤ人のベジータは、
 共通の敵フリーザを倒すために協力して戦うことになります。
 フリーザ編の最後は、仲間のクリリンを殺された悟空が、
 友情の怒りからスーパーサイヤ人に変身してフリーザを倒します。つまり

 『努力』『友情』『勝利』のプロセスが延々と繰り返されるわけです。

 そして、これこそが物語に緊迫感と爽快感を与える黄金のパターンなのです。
 これはマンガの話ですが、ライトノベルにも十分応用できる技です。

 「主人公は強敵に打ち勝つために努力し、友情に支えられつつ、勝利する」

 このストーリーの流れを、あなたの小説の中に取り入れてみてください。

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物語は竜頭蛇尾を心がけるべし

 
物語の導入部分である冒頭部は、小説の最重要箇所です。

 ここのデキによって、作品の評価の8割が決まると言っても過言ではありません。

 
なぜならば、ほとんどの読者は、冒頭を見て興味を引かれなければ、
 その時点で読むのをやめてしまうからです。


 あなたも経験ありませんか?
 本屋のライトノベルコーナーに立ち寄って、表紙やタイトルの気に入った小説を手に取る。
 そして、冒頭と粗筋だけ読んで、おもしくなさそうだったから書棚に戻してしまったこと。
 または、ネットサーフィンしていて小説系サイトに立ち寄り、そこに置いてあった小説の序盤だけ読む。
 だけど、どうにも興味を引かれなくてウィンドを閉じてしまったこと。
 私はそんなこと、しょっちゅうです(笑)。

 さて、これらのことからわかるように、小説は最初のスタート地点がなによりも肝心と言えます。
 冒頭部をインパクトの強いモノにして、読者の興味関心を引くことができなければ、
 その作品はそこで駄作の判決を受けてしまうのです。悲しいですが、これが現実です。
 作品の頭にこそ、最高のアイディアと全精力を注ぎ込みましょう。
 この小説はひと味違うぞ! というところを思いっきりアピールするのです。

 『終わり良ければ全て良し』などという格言は、小説の場合、適応されません。
 『初め良ければ、かなり良し』です。


 物語は竜頭蛇尾を心がけてください。
 読んだ第一印象が良ければ、その後の展開が少々おざなりでも、最後まで読んでくれる人が多いです。
 では、具体的に冒頭部をどのように工夫したら良いのか?
 まずは、ダメな例から紹介しましょう。 

 どうでもいい日常描写や、何の変哲もない家族の団欒、
 特に何も起きない通勤通学の光景、
 世界観の説明をだらだら続けるのはNGです。


 手に取った小説の冒頭部がこんなものだったら、
 私の場合、それ以上読まずにみ〜んな、サヨウナラします。
 非日常の世界を求めてライトノベルを手に取ったのに、
 その入り口が現実世界と変わり映えしない日常シーンだったら興ざめです。

 平和的な日常描写が、後に続く悲劇の伏線になっていたのだとしても、
 たいしておもしろくもない平凡なシーンを永延と読まされている方は、
 すぐに飽きて読むのをやめてしまいます。
 それなら、その悲劇から始めた方がよっぽどマシです。

 ステレオタイプな世界観を冒頭から押しつけてくるモノに対しては、
『竜が古代においてこの世界を支配していた?
 こんなありふれたどうでもいい設定なんぞ読みたくない』
 と読み飛ばすか、その場で読むのをやめます。 

 物語の冒頭は重大事件や悲劇、ラスボスからの苛烈な攻撃が加わるシーンにしましょう。

 なにか『日常的ではない行動』をしている場面から描き始めることが、
 初心者がおもしろい物語を創出するためのコツです。 
 ミステリー小説のハウツー本には、冒頭には死体を転がせと書いてあります。
 手垢の付いたパターンですが、インパクトという点では有効な手法です。
 とにかく、読者の度肝を抜く、驚愕の冒頭部を創造してみてください。


 では、読者を釘付けにする冒頭部とはどんなものか、
 『スクラップド・プリンセス』『斬魔大戦デモンベイン』『トリニティ・ブラッド』
 の3作品を例に上げて説明しましょう。
 ここから、先はネタバレ注意です。


 まずは、小説からアニメ化されるまでに至った『スクラップド・プリンセス』 を例に上げてみます。
 『スクラップド・プリンセス』は、シャノンとラクウェルと、
 彼らの血の繋がらない妹パシフィカの兄妹愛をテーマにした作品です。
 実は、このパシフィカ。15年前の〈グレンデルの託宣〉によって、
 世界を滅ぼす猛毒と予言された廃棄王女です。
 彼女は王妃の計らいによって処刑される運命だったところを逃がされ、
 普通の少女として育てられました。
 しかし、ひょんなことから、廃棄王女の存命が王室とマウゼル教会にバレてしまって、
 様々な刺客から命を狙われることになります。
 さて、この作品の冒頭部は、物語の発端になった〈グレンデルの託宣〉から始まります。
 五人の神官が、血まみれになりながら密室から出てきて、
 マウゼル神の託宣を告げるというショッキングなシーンです。
 こういう謎めいた、それでいてインパクトある冒頭部にすると、
 その後に続く物語の期待感が膨らみます。
      
 
 次に、私が心のバイブルと崇めるノベルゲーム
 『斬魔大戦デモンベイン』 のプロローグを例にあげてみます。
 デモンベインの冒頭部は、これまたインパクト大。
 地球を背にした宇宙空間で、最強クラスの2体の鬼械神(デウス・マキナ)が、
 頂上対決を繰り広げるというモノです。 
 鬼械神とは、古代の魔術師たちが持てる英知を結集して作った人造の神です。
 しかし、ヒロインのアル・アジフが操る鬼械神は、
 とある事情から本来の力が1割も発揮できない状態なっているので、
 あっさり負けて大気圏に叩き落とされてしまいます。
 アル・アジフの鬼械神アイオーンは、空気との摩擦によって流れ星になり、
 バラバラになりながら地球に落下します。
 ここで、アル・アジフと敵のボスの因縁を臭わせ、上手いこと伏線を張り、
 世界観の触りを説明しています。


 次にスニーカー文庫で人気を博した『トリニティ・ブラッド 嘆きの星』 の冒頭部。
 この話のプロローグは、兄を吸血鬼に殺された少女が、
 敵討ちに吸血鬼の巣くう教会を訪れたところから始まります。
 しかし、吸血鬼退治の為に持ってきた十字架や聖書が一切通用せず、
 あわや返り討ちに成りそうになったところを、主人公のアベル・ナイトロードに助けられます。
 この時、吸血鬼でも人間でもない第三の種族であるアベルの能力の一端が垣間見え、
 これが後々の伏線になっています。


 以上に上げた3作品は、最初からテンションの高い状態で始められており、
 読者は固唾を呑みながら作品の世界に入ることできます。


 このような冒頭部を工夫してみてください。  

関連情報 第4研究室 『冒頭・書き出しの悩み』

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恋愛要素を物語に絡める
 
 恋愛は人類最大の関心事です。
 どんな聖人君子でも、異性にモテることより世界平和の方が大事だと、
 本気で思っている人はそうそういないでしょう(笑)。
 苦しいダイエットも、流行の服選びも、髪のセットも、すべて自分をより美しくみせるため、
 カッコ良く見せるため、なにより異性にモテるためにやることです。

 この恋愛要素をストーリーに含ませることは、とても重要なことです

 恋愛に関心を持っていない人などいないのですから、読者の興味を引きつけることができます。
 しかし、恋愛要素は、ただ小説の中に盛り込めばいいと言うモノではありません。
 どこにでもいそうな男女の、起伏のない恋愛物語など誰もおもしろがりはしません。
 これを生かすための効果的な手法というものがあります。

 
恋は、障害が大きければ大きいほど燃える  

 殺人すら起きるほど古くから反目しあう2つの名家、
 それぞれの家に生まれたピュアな青年と娘が恋に落ちたら……
 というのは、シェイクスピアの有名な作品『ロミオとジュリエット』です。
 悲恋を描いたこの作品は、世界中で親しまれ幾世代を越えて読まれています。
 劇団なんかでもよく題材として扱われる、まさに恋愛物語の大御所です。

 さて、この『ロミオとジュリエット』のおもしろさの秘密とはなんでしょうか?
 それは、決して結ばれない運命にある男女が、激しくお互いを求め、
 危険な密会を重ねるというところです。

 読んでいる方は、バレたらどうなっちゃうのだろう。絶対にバレないでもらいたい。
 恋を成就してもらいたいと、ドキドキしながら読み進めることになります。
 この緊張感がたまらなく、2人が幾たびの困難を乗り越えて愛を語り合うと、
 大きなカタルシス(抑圧心理の解放)を得ることができます。
 よっしゃー!やったー!ばんざーい!という感じです。
 結局この物語はバッドエンドで終わってしまうのですが、
 その純粋すぎるほど純粋な恋に、人は大きく感動し、涙します。
 この例を見てわかるように、

 恋は障害が大きければ大きいほど、より大きく燃え上がる
 ……つまり、おもしろくなるのです。


 これこそ、恋愛物語作りにおける最重要ファクターです。
 世界中で根強い人気を得ている恋愛作品は、かならずコレを守っています。
 例えば『シンデレラ』なら、下級貴族と王族という身分の違いがありますし、
 『人魚姫』なら地上の人間と人魚という種族の隔たりが2人を引き裂く障害として機能しています。
 恋愛要素を物語に組み込む場合、簡単に結ばせるようなことはせず、

 
必ず恋の障害を作り出す

 
と良いです。そっちの方が、絶対に話がおもしろくなります。
 ラブコメなどは「2人が接近→イイ雰囲気流れる→でも寸止め」のコンボをしつこく繰り返し、
 徐々に恋の炎を燃え上がらせていきます。
 その際に生じるドキドキ感が恋愛物語の醍醐味なんですね。
 障害のパターンとしては、
 三角関係、親の不仲、人種の違い、身分の違い、宗教の違い、戦争による徴兵、
 血のつながり、遠距離恋愛、不治の病、どちらか一方が記憶喪失になる、
 呪いよってお互いの身体に触れられなくなる、
など様々なことが考えられます。


読者のニーズに迎合するパターン  
 
 ハーレム系の小説やマンガ、アニメというものがあります。
 大ヒットした『天地無用』が草分けになったジャンル
だと思いますが、
 どこにでもいる冴えない男の元に、
 ある日突然、複数の美少女が転がり込んできて、モテまくるという奴です。
 最近はこの系統の作品が氾濫していて、やや食傷ぎみですが、
 これらは男性読者の圧倒的支持を得て、いくつもの作品がヒットを飛ばしています。
 『まぶらほ』『まもって守護月天』『ラブひな』『ああ、女神様』『シスタープリンセス』……
 数え上げれば、きりがないでしょう。

 ギャルゲーやエロゲーの業界も、このパターンを飽きもせず取り入れて、
 私を含め大勢のモテない男たちに夢を売っています(苦笑)。
 さて、この煩悩爆裂、リアリティー完全無視、フェミニストから非難囂々の手法、
 なぜこうまでウケるのでしょうか?
 
答えは単純です。

 世の男たちはみんな、複数のかわいい女の子にモテまくる、
 うはうはハーレム生活を夢見ているからです(笑)。

 
これらの作品は、そんな我らの願望を満たしてくれます(オイっ)。

 小説の醍醐味とは、一時的に現実世界から離れ、非現実の世界に入り込むことです。
 読者は主人公に自分を投影し、本来できないはずの仮想体験をそこでするわけです。


 さて、その仮想体験が、群がる美少女たちにモテまくるというものだったら、どうでしょう?
 もう現実世界に帰ってくるのがイヤになってしまいます(笑)。
 これが、ハーレム系の作品がウケる理由です。
 馬鹿馬鹿しいと侮ってはいけません。そこのお嬢さん、退いてはいけません(汗)。

 読者を楽しませるが筆者の務めです。
 筆者1人が楽しんで、読者が楽しめなかったら、
 それは自己満足以外の何物でもありません。


 これも、ストーリーをおもしろくするための立派な黄金パターンの1つです。
 女性に受けたいのなら、これを反対にして、
 1人の少女が複数の美形野郎に言い寄られるという方法も使えると思います。
 
 
恋に落ちる男女の効果的な出会わせ方 

 おもしろいストーリー作りのために欠かせない恋愛要素。
 これを作る上で、おそらく一番頭を悩ませると思うのが、恋に落ちる男女の出会いシーンです。
 どんな分野においても第一印象というのはとても重要なものです。

 この出会いシーンがロマンチックかつインパクトがあるものであるかが、
 その後のラブロマンスのおもしろさを左右します。


 いわゆる、運命的な出会いというヤツをどのように演出するかですね。
 さて、その男女の出会いシーン、具体的にどうすれば一番効果的なのでしょうか?
 ずばり、お答えしましょう。

 
男女の出会いは、男性が女性のピンチを救うという形にするのがベストです。

 この出会いの形は、男女双方の持つ本能的な願望を満たしてくれます。
 そのため、読者が男性であっても女性であっても、深い共感を呼ぶことができるのです。 
 まず、男は誰しもヒーロー願望を持っています。
 大活躍して人から賞賛されたい。名誉を得たい。女の子から熱い声援を受けたいという願望です。

 そのため、かわいいお姫様のピンチを颯爽と救って
 「ありがとう、○○様。チュ」とかされると、
 宇宙の果てまで飛んでいってしまいそうなほど喜びます(笑)。
 また、女の子は誰しもお姫様願望を持っています。
 男性から大事にされたい。愛されたい。特別な存在として扱って欲しいという願望です。
 そのため、二枚目の白馬の王子様にピンチを救われて「大丈夫ですか?姫」とか囁かれると、
 トキメキ回路は大スパークです。
 つまり、この出会い方は、男女双方をハッピーな気持ちにさせることができるのです。
 また、

 
こういう発端部にすれば、
 そのまま2人の間を恋愛関係に発展させるが非常に楽です


 かわいい女の子を絶妙なタイミングで救った男は、十中八九、その娘に興味を持ちます。
 その後も、危険な目にあう可能性のある女の子を、放ったままにできる男なんていますか?
 彼は持ち前の正義感を発揮し、その娘にまつわる事件に何かと首を突っ込みたがるでしょう。
 そして、その過程で、その正義感を恋愛感情に変換させるのは簡単です。
 また、男に危機を救ってもらった女の子は、強い感動を受けます。
 「身をていして私を守ってくれるなんて、なんて頼もしい人なんだろう!」という感じです。
 そして、その情動は、これまたたやすく恋愛感情に昇華できます。
 具体的なやり方としては、彼に話しかけられると顔を赤らめたり、
 ぼーっと考え事をしているようなシーンを作ると良いでしょう。

 男性が女性のピンチを救うという形での出会いこそ、ラブロマンスの王道です。
 あなたもこの栄光の街道を驀進してみてください。

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強烈な動機。強烈な抑圧。そして、最後に目的が達成される
  
 物語とはなんでしょうか?
 それは主人公が、なにか現状に不満があって、
 それを変えるため、あるいは何かを得るために行動し、
 目的を妨げる要因と戦っていく課程です。


 
なにかが欠けている状態が、元に戻ること、これが物語の基本的な形です。

 
これを守らないと、他の要素がどれほど優れていても絶対に意味不明の駄作になります。
 キャラクターがほれぼれするほど魅力的でも、文章がプロ顔負けに上手くても、
 台詞回しがどんなに巧みでも、興味を引く複線がどれほど散りばめられていても、

 すべて無意味になります。

 いわゆる起承転結が上手く作れていないといわれる作品は、
 この法則を知らないか、無視しているのです。

 ちょっと、わかりづらかったでしょうか?
 では、オーソドックスなロールプレイングゲームのストーリーを例に上げて説明しましょう。

 
 魔王が人類を支配しているとします。
 主人公である勇者は、その支配体制に不満を感じ、魔王を倒すべく旅立ちます。
 そして、途中で仲間を得、強力な武器を手に入れ、
 襲い来る魔王の手下をどもを蹴散らし、様々な苦難の末ついに魔王を倒します。
 

 ロールプレイングゲームに留まらず、
 あらゆるマンガやライトノベルは、この王道的ストーリーのパターン……

 主人公が目的に向かって行動し、
 それを妨害する敵と戦って、最終的に目的を達成するという流れを守っています。


 なぜなら、それがおもしろいからです。
 なぜ、おもしろいのかといえば、様々な困難の末に、主人公の目的が達成されるからです。
 現実の世界では夢や目標を持ったとしても、なかなか思い通りには達成できません。
 達成できればこれほど喜ばしいことはありませんが、
 努力しても必ず報われる訳ではないのが世の常です。
 人が小説やマンガ、映画に夢中になるのは、そこが主人公の目的が達成される世界だからです。

 
自分を主人公と一体化させ、その冒険を仮想体験し、
 そこで仮の目的を達成するカタルシス(快感)を得る……
 この喜びを人は求めるわけです。


 中にはバットエンドで終わる作品もありますが、
 バットエンドといっても、主人公の目的がなんらかの形で達成されています。
 悲劇として有名な『ロミオとジュリエット』も、愛を貫いて死んでいきます。
 つまり、死という結末は悲しいけど、究極の目的である恋愛成就は達成されているわけです。
 
 さて、物語の流れが分かったところで、これをよりおもしろくする方法を紹介しましょう。

 それは主人公の行動の動機である『目的』を明確かつ強烈なものし、
 それを妨害する敵の攻撃も、より強烈なモノにすることです。


 絶対に達成したい目的がある主人公が、
 逆立ちしても勝てないような敵に死にものぐるいで立ち向かい、そして最後には勝利する。
 この鉄則を守っていただければ、あなたの小説は必ずおもしろいものになるでしょう。
    
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登場人物に複数の動機を与える
  
 物語とは、主人公が目的を達成する過程であることはすでにお話しました。
 次に重要になってくるのが、この目的を達成したいという理由、つまり動機です。 
 人が行動するには、動機が必要です。なにか理由が無いと、人は行動しません。

 主人公が命をかけて敵と戦うのなら、
 命をかけて当然と読者が納得できるような動機が必要になります。
  

 もし、納得できないような理由で命をかけてしまうと、
 とたんに物語が嘘臭くなり、読者は白けてしまいます。

 例えば、好奇心から事件に首を突っ込む主人公がいたとします。
 この場合の主人公の目的は、「事件の解決」です。
 好奇心は人間誰しも持っている感情なので、好奇心で行動することに不自然さはありません。
 しかし、事件に関わったことで、自分よりはるかに強大な悪役から、
 「殺すぞ」という恐喝を受けたとしたら、いかがでしょう?
 命を危険にさらしてまで事件にかかわり続けるなんて、現実には、まず考えられませんよね。
 好奇心より、自己防衛本能を優先させるのが人間です。
 それなのに、強引に好奇心という動機だけで登場人物を行動させてしまうと、
 その物語はリアリティの無い駄作になります。
 
 そこで、有効なのが登場人物に複数の動機を与えることです。

 人間が行動する理由は1つとは限りません。
 有名大学への進学という目的のために受験勉強するにしても、
 「良い学校に行ってステイタスを得たい」
 「受験に失敗すると恥ずかしい」
 「親に勉強しろと言われたから」
 「良い点数を取ると優越感に浸れる」
 「みんながやっていることだから」
 「社会で負け組になりたくない」
 と、いろいろな理由がありますよね。
 登場人物にも現実と同じように複数の動機を与えることによって、
 行動にリアリティを持たせることができます。
 人間が行動する理由としてあげられるのは、

 1・愛情 (異性愛、兄弟愛、親子愛) 
 2・友情
 3・復讐(怒り、憎悪、嫉妬、劣等感)
 4・義務(仕事だから・命令されたから)
 5・欲望(金銭欲・名誉欲・支配欲・物欲・性欲)
 6・趣味・嗜好・ポリシー(それをするのが好きだから)
 7・正義感
 8・好奇心
 9・自己防衛

 などが、あります。
 これらをいくつか組み合わせて、登場人物の動機を強化させましょう。

 例えば、最初は単なる好奇心から事件に関わったけれど、
 悪役の親玉が親の仇であることがわかり、どうしても事件を解決したくなった(復讐)。
 悪役から追われている美少女のコトが好きになったので、彼女をどうしても守りたくなった(愛情)。
 悪いことをする奴らのコトが許せない(正義感)。
 事件の秘密を知ってしまったことで、悪役から口封じのために狙われることになった(自己防衛)。
 事件を解決した者には、莫大な賞金が出ることになった(金銭欲)。
 自分の親友が事件に巻き込まれてしまった(友情)。

 このように、主人公を行動させるにも様々な動機が考えられますよね。

 悪役の場合でも、例えば征服欲から、
 主人公の住む土地を侵略しようとしたのでは行動の動機が弱いです。
 ここにも愛情や復讐心などをブレンドして、動機を強化しましょう。
 例えば、その土地を支配する王族や貴族の少女のことが好きで、
 彼女を自分のモノにしたいから、その土地を征服しようなどというのなら、
 悪役に感情移入しやすくなります。
 それが、主人公の妹や恋人であるなら、主人公と悪役の確執が強くなり、
 より物語がドラマチックになるでしょう。

 ただの征服欲に愛情という動機を加えて、動機を強化するのです。

 復讐心、憎悪なども人間を行動させるための強い動機です。
 その土地を侵略するのは、征服欲もあるが、復讐のためでもあると、
 悪役の行動に感情移入しやすくなります。
 例えば、昔、その土地に住んでいたのだが、なんらかの理由で迫害を受け追放された、
 などというエピソードを加えるのです。

 こんな風に、登場人物には複数の動機を与えてみてください。
 動機が強くなれば、その行動にはリアリティと人間臭さが出て、
 読者はより感情移入しやすくなります。

 
 特に、読者を納得させやすいのが、「愛情・復讐・自己防衛」の3つです。
 恋愛を物語に絡めることが有効なのはすでにお話しましたよね。
 愛情は、人の共感を最も呼びやすい動機です。
 愛情を動機としている行動は美しく、読者に快感を与えます。
 復讐も、人間の強い感情である憎悪に起因しているので、納得しやすい動機になります。
 ただ、ネガティブな動機なので、主人公の行動の理由にすると、どうしても暗い話になります。
 自己防衛本能も、誰しも持っているものなので、読者に受け入れられやすいです。
 いきなりわけのわからない敵に襲われ仕方なく反撃する、
 なんていうストーリーの小説は結構、多いですよね(笑)。
 
 ただし、こういった動機は登場人物の性格とマッチしたモノを選んでください。

 正義感に溢れた人物が、金銭欲で行動することはあまり考えられません。
 友情に価値を見出していない人間が、友情のために行動するのも不自然です。

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キャラクター同士の対立を描く
  
 小説の中には、必ず対立の構造を入れてください。
 人と人とが自分の目的を達成するために、ぶつかり合うのです。そこにドラマが生まれます。


 ラブコメだったら恋愛を成就させるために、敵に立ち向かったり、
 ライバルと競ったりしなければ、まずおもしろくありません。
 冴えない男の元に、数人の美少女がやってきて、ウハウハになるという物語は、
 軽蔑されながらもなぜか人気がありますでしょう?
 あれは、一見軽薄そうに見えますが、実は女性同士の対立や、それに振り回される男、
 という緊張感のある人間関係を構築しているので、おもしろく読めるのです。

 人間同士の対立がないところには、ドラマは生まれません。
 「燃える展開」というのは、主人公と同等以上の“敵”をもって確立される……
 これは小説に限らず、映画、漫画、アニメ、ゲーム、あらゆる物語作りで、
 もはや常識とされる手法です。


 対立する相手は、悪役だけとは限りません。
 思想的対極や、ライバル関係にあるキャラクターを敵味方双方に配置し、
 これを対比、争わせることで、それぞれのキャラクターの個性や主張が強調されます。
 そうすることで、ストーリーを盛り上げられるだけでなく、
 キャラクターの魅力も最大限に引き出すことができるのです。

 例えば、少年ジャンプ黄金時代を築いたスラムダンクという漫画があります。
 この作品は主人公の桜木花道が、好きな女の子の気を引くために、
 バスケット部に入部してしまうところから始まります。
 最初は、不純な動機だったけれど、バスケットボールのおもしろさに目覚めて、
 そこで全国大会を目指すという話です。
 桜木花道は、同じチームの流川楓という
 同じ一年生のスーパールーキーに常にライバル心を燃やします。
 花道の好きな女の子が流川のことが好きだったからという理由もありますが、
 花道は自分を天才だと信じている自信家であるため、流川よりどうしても活躍したかったのですね。

 敵のチームにもすごい選手が出てきて、当然、彼らとも対立するわけですが、
 同じチーム内でのライバル関係というのも常に描かれています。
 桜木VS流川だけでなく、桜木VS赤城、赤城VS三井、という対立と葛藤もあります。

 「コイツには負けたくない!」という感情が、ドラマを盛り上げてくれるわけです。
 
 他にも例えば、燃えヒットメーカーと呼ばれるNitro+の人気シナリオライター虚淵玄氏は、
 ライバル的存在を、主人公・ヒロインどころか、サブキャラクターに至るまで配置し、
 これらを物語上で常に戦わせてきました。 
 他のキャラとライバル関係という強力な相関関係を持っているが故に、
 各キャラは孤立することなくストーリーに参加することができ、
 脇役でありながら場面場面によっては、主人公やヒロイン以上の存在感を示せています。

 戦隊ヒーローものなどでも、お約束として敵の幹部同士がいがみ合っていますよね。
 あれは、やっぱり燃えを生み出す上で、すごい効果があるわけですよ。

 しかし、残念ながらアマチュアの小説書きさんの中には、
 対立構造の重要性を理解されてない方が、かなり多くいます。
 例えば恋愛物だったら、ライバルや二人を引き裂こうとするようなキャラなどおらず、
 ただ恋人同士が仲良くイチャイチャして終わりというのでは、まったくおもしろくありません。
 スポーツや格闘物でも、ただ大会に優勝して終わりじゃなくて、
 本気でぶつかり合えるライバルが必要なのです。
 おそらく、対立や争いなどない理想の世界を描きたい、平和な世界を描きたい、
 という欲求が内にあるのだと思いますが、読者に楽しんでもらいたいと思ったら、
 そういった自己満足から抜け出さなくてはいけません。

 いくら世界観を作り込もうが、設定を練ろうが、格好いい主人公だけでは燃えられないのです。
 彼(彼女)の魅力を最大限に引き出すのは、対立関係にあるライバルです。
  
 物語を盛り上げたければ、登場人物同士の対立を描くようにしましょう。

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上級テクニック。物語の流れを、よりダイナミックにする方法

 この技は、上級者向けの技です。
 上で物語の仕組みと流れを説明しましたが、これをよりダイナミックにする方法があります。
 
 目的を持った主人公の行動『正』が、それを妨げる環境(敵・悪役)の『反』の勢力と激突し、
 しのぎを削ることによって、新しい『合』の状態を生み出す。
 その一連の流れをシークエンスと呼びます。
 物語は、このシークエンスの連続によって成り立っており、
 2つの勢力が総力を挙げてぶつかる最後の大爆発、「クライマックス」によって終わります。

 物語の内容を盛り上げるためには、
 シークエンスを関連性無く、ただ串刺し団子のように並列的に並べたのではダメです。


 最初のシークエンスで生まれた『合』が、次のシークエンスの『正』となり、
 これにまた新しい『反』が激突し、そこでまた生まれた『合』が、
 また次のシークエンスの『正』となるという具合に、
 連鎖反応的、重層的にシークエンスを組み合わせるのです。
 なんだか、難しい話をしてしまって申し訳ないですが、

 つまり展開の山場となる第一関門を突破した主人公の前に立ちはだかる次なる難所、
 第二関門は第一の挑戦をクリアしなければ決して挑戦できないよう設定すればOKです。


 この際、主人公の成長に合わせて、次なる関門のハードルを上げていきましょう。
 関門はギリギリ、クリアできるか否かくらいのレベルにするのがミソです。
 現時点で持ちうる力と知恵を振りしぼり、仲間の力を総動員して、
 時に挫折しそうになりながらもこの関門にぶつかっていく過程で熱いドラマが生まれます。

 あれれ? なんか、聞いたような話だなと思いませんでしたか?
 そうです。上で紹介した『努力』『友情』『勝利』の法則の中で取り上げた、
 『ドラゴンボール』の構造がそのままスッポリあてはまります。

 悟空がピッコロを倒すことによって、両者に武術家としての奇妙な信頼関係が芽生えます。
 これがピッコロ編シークエンスの『合』です。
 この『合』にサイヤ人急襲という『反』が激突します。
 ピッコロが悟空と共闘するという考えられない状況が起こります。
 サイヤ人編シークエンスの『合』は、
 死んだ仲間を復活させるためにナメック星にドラゴンボールを探しに行くというものです。
 そこにまたフリーザという『反』がぶつかってきます。

 こうすることによって、ドラマは次第に緊張感を増し、
 クライマックスに向けてパワーとテンポを高めていくことができます。

 さらに、この構造には、もう一つの利点があります。
 それは主人公(キャラ)が徐々に成長していくということです。


 関門をクリアするごとに、強い敵に打ち勝つごとに彼(彼女)は、
 能力的・精神的に強くなっていくのです。
 最初は弱くて貧弱な主人公が、試練を乗り越え、たくましくなっていくというのは、
 感情移入して読んでいる読者に格別な快感をもたらします。

 まるで、わが子の成長を見つめているかのような、応援したくなる気持ちが生まれるのです。
 
 同じく少年ジャンプに『ダイの大冒険』という冒険ファンタジー漫画があります。
 この漫画に登場するキャラクターにポップという魔法使いの少年がいるのですが、
 彼は最初は、仲間を見捨てて逃げるようなヘタレな精神と、貧弱な力しか持たないキャラでした。
 このため当初は読者から反感を買っていました。
 しかし、ポップは、逃げたくなる気持ちと葛藤し、苦しみながら試練を乗り越え、
 徐々に精神的、能力的に強くなり、最終的に仲間からは絶大な信頼を寄せられ、敵軍からは
 「アバンの使徒(主人公の仲間)で最も恐ろしい男」と呼ばれるほどに成長しました。
 このこともあり、ポップは主人公のダイに次いで、
 人気投票では後半、常に2位をキープするほどの人気者になりました。
 
 ストーリーを盛り上げ、キャラの魅力を増すこともできるこの構造には、かなり強烈な効果があります。
 少年漫画的な冒険活劇を描こうとしている方は、ぜひ、この構造を取り入れてみることをお勧めします。
『ダイの大冒険』はこのシークエンスの構造のお手本のような物語なので、
 未読の方は読んでみることをお勧めします)

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